松家仁之の新作『天使も踏むを畏れるところ』
若き建築家や幅広いキャラクターたちの視点を通じて、松家仁之が描く最新作『天使も踏むを畏れるところ』。この作品は、終戦から15年経過した日本における新宮殿の建設を舞台に、戦後の歴史を深く掘り下げた大長篇小説です。昨年1月にデビュー作『火山のふもとで』が文庫化され、好評を博した松家さんが次に手掛けたこの本は、各メディアで話題となり、多くの称賛を受けています。
物語の舞台と重要なテーマ
1945年の終戦間近、皇居にあった明治宮殿は空襲により焼失しました。戦後、日本は復興を目指しながらも、昭和天皇の意向を受けて長らく再建が見送られてきました。しかし、民主国家となった日本で新しい「新宮殿」の建設という大きなプロジェクトが、いよいよ始動します。その中心となるのは、建築家・村井俊輔です。彼の視点を通じて、建築理念や人間ドラマが展開されるのです。
多様な視点から見るプロジェクト
村井をはじめとする建設省の技官や宮内庁のスタッフ、さらには皇太子の教育を担う人物や、美智子妃と親交のある園芸家など、さまざまなキャラクターたちが登場し、それぞれの視点から物語が描かれます。それにより、ただの建設プロジェクトが単なる技術的な課題や経済的な成功を目指すものではなく、人間関係の葛藤や成長の物語であることが明らかになります。読者は、彼らの人間性に感情移入し、そこの背景に潜む歴史を感じ取ることができるでしょう。
絶賛の声
作品を読んだ読者や評論家たちからは、「よく調べられている」「登場人物たちの会話が生き生きと描かれている」といった声が上がっています。作品の背後にある歴史的文献と彼の細部までのリサーチが、物語に深い厚みとリアリティを加えているのです。また、著者自らが語るように、視点を変えつつ描くことで多層的な物語が展開される点も評価されています。
松家仁之の魅力
松家仁之は1958年生まれ。編集者としてのキャリアを経て、2012年にデビュー作を発表。その後も多くの作品を手掛け、読者を魅了してきました。彼の作品では、建築や歴史をテーマにしたものが多く、本作もその文脈に位置づけられます。読者たちは彼の作品を通じて、ただのフィクションではなく、歴史の真実に触れることができるのです。
本書の情報と購入方法
『天使も踏むを畏れるところ』は、上下巻で構成され各552ページ。発売日は2025年3月26日で、定価はそれぞれ2970円(税込)となっています。興味のある方は、ぜひ書店で手に取ってみてください。そして、新宮殿建設に秘められた人間ドラマを通して、戦後日本の成り立ちや人々の思いを感じ取ってみてください。松家仁之の新たな傑作が、あなたの心に響くこと間違いありません。