ENEOSがCCUS調査を受託、海洋資源活用の新たな挑戦に向けて

ENEOSが海洋資源を利用したCCUSに関する調査業務を受託

ENEOS株式会社は、国立研究開発法人海洋研究開発機構（JAMSTEC）および国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所（PARI）と協力し、環境省から「令和7年度海洋資源を活用したCCUSに関する調査検討業務」を受託したことを発表しました。この新事業は、CO2吸収源対策としての「ブルーカーボン」の拡充を目指しており、特に深海域における海藻類の挙動やその環境への影響を調査します。

ブルーカーボンとは

ブルーカーボンとは、海洋の生態系が二酸化炭素を吸収し、貯蔵する機能を指します。具体的には、海草や海藻が成長する過程でCO2を取り込み、成長後にはその遺骸が堆積し、長期にわたり炭素を固定します。ENEOSは、これを活用することで温室効果ガスの削減を促進し、持続可能なエネルギーの実現を目指しています。

具体的な調査内容

本業務では、深海での海藻類の挙動を調査し、周辺環境への影響を評価します。これには、有人潜水調査船「しんかい6500」を使った潜航調査が含まれています。この船は、最大深度6,500メートルまで潜航できるという特性を持ち、深海での生態系や海藻の生育状況をリアルタイムで観察できます。

さらに、炭素貯留量の把握や、そのシミュレーションモデルを用いた影響評価も行われます。これは、ブルーカーボンの促進に向けた具体的な指針を提供し、CO2削減に向けた戦略を立てるための重要なデータとなります。

共同研究の意義

ENEOSは、これまで海草・海藻藻場の再生のためにカーボンクレジットの認証を行ったり、産官学の連携による大規模なブルーカーボン創出の検討を行ってきました。今回の調査は、その知見を新たな形で生かし、より効率的で持続可能なCO2吸収体制を構築する新しい試みと言えます。

また、研究チームはJAMSTECやPARIと兼ねて、科学的な知見の収集を進め、より効果的な海洋資源活用法を開発することを目指します。

ENEOSのカーボンニュートラルへの取り組み

ENEOSは、2040年度までは2013年度と比較して73％のCO2排出削減を目指しており、2050年度にはカーボンニュートラルの達成を視野に入れています。この目標を達成するために、自然吸収の増加を図る様々な取り組みを実施しています。

今後もENEOSは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、革新的技術と研究を通じて温室効果ガスの削減に寄与していく所存です。海洋資源を活用した融合的なアプローチが、我々の未来にどのような影響を与えるのか、注視したいと思います。