2024年下期の東京都心部オフィス市場動向
この記事では、三幸エステート株式会社と株式会社ニッセイ基礎研究所による東京都心部のオフィス市場に関する共同研究の成果を基に、2024年下期のオフィス需要動向を分析します。特に、オフィス拡張移転DIを中心に、企業の移転動向や市場の変化を詳しく見ていきます。
オフィス拡張移転DIの動向
2024年下期における東京都心部のオフィス拡張移転DIは、2024年第3四半期で71%、第4四半期で72%の水準に達しました。この数値は、過去のデータを見るとコロナ前の水準に近く、オフィス需要の緩やかな回復が感じられます。
このDIは、企業の拡張意欲や縮小意欲を示す指標で、50%を境に上回ると拡張志向、下回ると縮小志向が強いことを意味します。近年、企業業績が好調であることがこの数値を押し上げている一因と考えられます。オフィス成約面積は前年同期比で11.1%増え、39.1万坪に達しました。これは、企業の移転需要が引き続き強いことを示しています。
業種別動向の分析
業種別のオフィス拡張移転DIを見てみると、不動産業・物品賃貸業が80%、学術研究・専門/技術サービス業が79%となっています。一方、情報通信業は70%に留まり、企業によってはハイブリッドワークの影響で縮小移転が一定数見られます。これにより、情報通信業の移転件数は拡張移転が増加する一方で、縮小移転も依然として存在していることが分かります。
ビルクラス別の需要分析
ビルクラス別に見ると、Aクラスビルのオフィス拡張移転DIは79%、Bクラスビルは84%、Cクラスビルが71%と、特に高グレードなビルに対する需要が回復しています。これは、人手不足を背景に優秀な人材の確保を重視する企業がハイグレードビルに移転を進めているためです。
市場の先行きとまとめ
2025年には新規ビルの供給が増えることが見込まれており、需給のバランスがどのように変化するかが注目されます。オフィス市場は現在、緩やかに改善傾向を見せているため、今後の賃料上昇への影響も重要な観点となるでしょう。
このように、東京都心部のオフィス市場は堅調な動きを見せており、今後の動向にも期待が寄せられます。