同朋大学、ケアリーバー支援プロジェクトの特許出願
同朋大学の社会福祉学部に所属する宮地菜穂子准教授が中心となり、医療的なサポートが必要な子どもたち、いわゆる「ケアリーバー」の社会的孤立を防ぐための新しい支援システムの特許が出願されました。この特許は2024年11月22日(金)に正式に申請され、プロジェクト名は「社会的養護経験者などに対する支援システムおよび支援方法」とされています。
プロジェクトの背景
社会的養護経験者とは、主に児童養護施設などで育った子どもたちを指します。彼らは施設を退所した後、社会的なサポートを受けられず孤立化することが多いという問題があります。2021年に厚生労働省が実施した全国調査によれば、施設を通じてサポートが無いまま生活しているケアリーバーは5人に1人にのぼるといいます。このような孤立状態は、彼らの再社会化や自立に対する大きな障壁と考えられています。
アフターケア体制が十分に整っていないことや、施設や里親がケアリーバーの連絡先を知らないことなどが、孤立の主な原因として挙げられています。そこで、宮地准教授は2022年10月より、「孤立」を打破し「繋がり」を生むための仕組みを作ることを目的にこのプロジェクトを開始しました。
支援の具体的な内容
本プロジェクトでは、以下のような支援システムの構築が進められています。
1. 社会的孤立の理解と新たな社会像の描出
調査によって明らかになった孤立や孤独のメカニズムを理解し、それを防ぐための社会的解決策を検討します。
2. リスクの可視化と評価
孤立に関する文献や実態を基に、孤立指標を確立するためのアセスメントバッテリーが作成されています。この尺度を用いて、今後も調査・検討を続けていく予定です。
3. 社会的仕組みの構築
地域の支援者や関係者とのネットワークを強化し、効果的なサポート体制を整えるためのツール開発にも力を入れています。
プロジェクトの意義
このプロジェクトは、国立研究開発法人科学技術振興機構(RISTEX)が推進する「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」でも評価されています。社会的孤立や孤独を予防するための研究が進んでいることは、今後の社会においても大きな意義を持つと考えられます。
結論
社会的養護経験者(ケアリーバー)の支援に特化した新しいシステムが実現することで、更なる社会的孤立の防止と、自立支援が期待されます。同朋大学のこの取り組みは、社会全体にとっても重要な意味を持つものであり、今後の動向が注目されます。詳しい情報は、公式ウェブサイトにてご確認ください。