2025年9月のdoda転職求人倍率レポートの概要
パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda」は、2025年9月の転職求人倍率を発表しました。このレポートでは、中途採用市場における需給バランスがどのようになっているのかを示す数値が算出されています。
転職求人倍率の算出方法
doda転職求人倍率は、転職希望者1人に対して中途採用の求人が何件あるかを算出したもので、求人数を転職希望者数で割って求められます。具体的な算出式は以下の通りです:
求人数(採用予定人員)÷ 転職希望者数
この独自の定義に基づいて、数値が算出されています。
2025年9月の転職市場概況
2025年9月時点の転職求人倍率は2.43倍で、前月比で0.01ポイントの増加を記録しましたが、前年同月比では0.43ポイントの減少となっています。求人数は前月比で1.9%増加し、前年同月比では1.7%減少しました。一方、転職希望者数は前月比で1.4%増加し、前年同月比では15.7%の増加となりました。
求人業種別に見ると、12業種中11業種が前月から増加しており、最も増加率が高かったのは「商社」で前月比103.3%となっています。次いで「メディア」で103.2%でした。職種別では11職種中10職種が前月から増加しており、「事務・アシスタント」が最も高い103.8%の増加を記録しました。
解説と今後の見通し
dodaの編集長桜井貴史氏によれば、9月の求人数は依然として高い水準にあり、商社業界の求人が特に目立ったといいます。特に建設業界では労働力不足や業務効率化、働き方改革が求められており、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が進んでいます。この影響で、建設系の専門商社は採用活動を強化しています。
転職希望者数も好調で、年内の転職を目指す動きが9月に入って活発化しています。これは夏季休暇明けの例年の流れであるため、特に多くの求職者が転職活動を開始する時期です。
2025年第2四半期(7〜9月)のデータでも、業種別では「エネルギー」の求人が107.8%増加しており、特にカーボンニュートラル関連の事業が採用活動を活発化させています。生活費の高騰による不安感から、年収をアップさせるための転職希望者も増えているようです。
今後は、求人数の伸びが一時停滞する可能性がありますが、企業は依然として採用意欲が高く、来期に向けた増員計画や欠員補充が続く見込みです。転職希望者数も、物価高の影響と11月まで続く年内の転職意向から増加傾向が続くと考えられます。例年の傾向を踏まえれば、転職求人倍率は上昇する見通しです。
まとめ
2025年9月のdoda転職求人倍率レポートでは、依然として高い求人数と増加傾向の転職希望者数が確認されました。業種別、職種別での求人増加があり、企業の採用意欲は引き続き高いとみられます。今後も転職市場の動きに注目が集まります。
解説者プロフィール
桜井貴史氏は、新卒で大手人材会社に入社し、キャリア教育や就職支援の分野で豊富な経験を持っています。その後、パーソルキャリアに中途入社し、2024年からはdodaの編集長を務めています。Z世代の就職や転職動向に精通しており、今後の求人市場を見極める専門家として、著名です。