日本各地に存在する灯台は、長年にわたり航路の安全を守る重要な存在でしたが、近年その役割が大きく変わりつつあります。一般社団法人海洋文化創造フォーラムが主導する「新たな灯台利活用モデル事業」は、全国の灯台を観光資源として活用し、地域の活性化を図ることを目的にしたプロジェクトです。2025年度に採択された13の事業がその第一歩を踏み出します。
このプロジェクトでは、灯台を中心に地域の歴史や文化、さらには海の魅力を再発見し、それを観光資源として整備します。灯台は単なる航路の目印ではなく、人々の思い出や地域の文化を象徴する重要な存在でもあります。地域ごとに特色を生かした多様な取り組みが展開され、観光客を引き寄せる新たな魅力となるでしょう。
具体的には、岩手県の碁石埼灯台や山形県の鼠ヶ関灯台など、全国13か所の灯台を活用するプロジェクトが採択されました。それぞれの灯台が、その地域特有の歴史や文化を体験できるような仕掛けが施される予定です。例えば、岩手県の碁石埼灯台では、地元の特産品を販売するショップの開設や、灯台を巡るツアーの実施が検討されています。また、山形県の鼠ヶ関灯台では、地域の美味しい食材を使った料理を提供するレストランとの連携が進められる見込みです。
さらに、静岡県熱海市の初島灯台では観光ツーリズムとして、灯台を巡るクルージング体験も実施される予定です。参加者は美しい海を眺めながら、灯台の役割や歴史を学ぶことができるでしょう。こうした様々な取り組みを通じて、地域の魅力を発信し、訪れる人々に新たな体験を提供します。
このプロジェクトは「海と灯台プロジェクト」の一環として、日本財団が支援しています。今後は、地域の海の記憶を掘り起こすことが求められており、そのためには地域住民や地元企業の協力が不可欠です。灯台を通じて地域内外の交流を促進し、異なる分野と連携しながら新しい海洋体験を生み出すことが目指されています。
2025年度の活動は、公式ウェブページで随時公開される予定です。中間発表は10月中旬に行われ、10月20日、21日には「海と灯台サミット」も開催されます。このサミットでは、各事業の進捗状況が報告されるため、関心が高まること間違いなしです。
たとえば、富山県高岡市では「伏木エリア魅力発掘プロジェクト」が進行中で、灯台を舞台にしたイベントや体験プログラムが企画されています。このように、各地の灯台が地域の個性を際立たせる素材となり、訪問者に新たな魅力を感じてもらえる機会が増えるでしょう。
海と灯台プロジェクトは、地域活性化の未来を切り拓く取り組みとして、今後の進展が大いに期待されています。灯台とともに歩む地域の未来に、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。