オックスフォード大学のレクチャーが示す環境問題への意識の重要性
2025年4月16日、水曜日、島根県立大学浜田キャンパスでの出来事は、受講生たちに貴重な学びと気づきをもたらしました。ベトナム出身のデータサイエンティスト、コア・トラン氏が英語で行った講義は、「地球温暖化による海面上昇がベトナム沿岸部に与える影響」と題され、多くの学生から熱い関心が寄せられました。この講義は、英語圏への留学を目指す「TOEFL留学準備講座」の一部として行われ、12人の受講生が参加しました。
コア・トラン氏はオランダのユトレヒト大学を卒業後、イギリスのオックスフォード大学で社会学の修士号を取得した経歴を持ち、海面上昇のメカニズムに関して深い知見を持っています。講義では、トラン氏が地球温暖化による海面上昇の予測を詳細に解説。彼がオックスフォード大学での研究を通じて得たデータをもとに、2100年までに海面が1メートル上昇した場合、ベトナムの沿岸地域に住む134万5千人が住居を失う危険があることを示しました。
講義終了後、トラン氏は受講生たちにディスカッショントピックを提起しました。「海面水位の上昇が日本にはどのような影響を与えると考えますか?」そして、「日本政府はこの問題にどう対処すべきだと思いますか?」といった問いかけを行い、参加者は活発に意見を交わしました。
受講した学生たちからは、様々な意見が出ました。「私の出身地には埋め立てて作られた石油コンビナートがあり、浸食が懸念される」と語る学生や、「観光資源となっている美しい砂浜が経済的ダメージを抱えることは大きな問題」と指摘する意見もありました。また、「人口が集中した大都市は政府による保護を受けるかもしれないが、地方都市では支援が得られず移住を余儀なくされる可能性が高い」と懸念する声もありました。さらには、「一般企業も地球温暖化防止にもっと積極的に取り組むべきだ」との意見も飛び出し、参加者全員が真剣に問題を考察する姿が見受けられました。
国際関係学部の賀来美夕季さんは、この講義を受けて「海面上昇が進行すれば、2100年には130万人以上が移住を余儀なくされるとの話に衝撃を受けた。この問題は国際社会全体で取り組まなければならない重要なテーマだ」と感想を語りました。国際コミュニケーションコースの高橋大地さんは、講義後のディスカッションを通じて自分の意見を発表することが、知識の定着に繋がると感じたと述べました。柳井海音さんは、ベトナムに存在するカフェ文化に興味を持ち、「本場のベトナムコーヒーを試してみたい」と期待を膨らませました。
この講義を担当した江口真理子教授は、「トラン氏の講演は非常に内容が難しく、地理学的なボキャブラリーを必要としましたが、アカデミックなディスカッションのスタイルを体験でき、ベトナム文化についても学べる有意義な時間となりました」と振り返ります。受講生たちがこの講義を通じて得た経験は、彼らが今後直面する環境問題への理解を深める重要な一歩となったことでしょう。