幻の国史教科書『復刻版・高等科国史』が再び注目を集める
日本の歴史教育において特異な位置を占める教科書『復刻版・高等科国史』が、再びその価値を証明し、5刷目の増刷が決定しました。本書は、戦時中に国民学校の高等科生向けに作成された国史教科書であり、当時の教育や歴史観を垣間見ることができる数少ない資料です。
幻の教科書とは?
本書は、1944年に発行された国史教科書「復刻版・高等科国史」として知られています。発売された一巻は、学徒の勤労動員が本格化したため、一般には使用されることがありませんでした。また、二巻は発行されておらず、完全に「幻の教科書」として位置づけられています。時が経つ中で本書は、その独自の視点と知識を提供する貴重な資料として注目されるようになりました。
皇国史観の影響
この国史教科書は、皇国史観を基に日本の歴史を学び直す重要な手段となっています。特に、神代から現代に渡る精神的な連結が本書の中核を成しており、日本の歴史を深く理解することができます。そのため、年代表記には皇紀が使われている点も特徴です。
十分な歴史的文脈を持って生徒に伝えようとするこの教科書からは、特に日本が直面していた苦境にあった時期の教えを受け取ることができます。昭和19年のレイテ沖海戦まで言及されており、この時期の戦局に対する生徒の理解や国家意識を深めることが意図されています。
教育の質の変遷
本書を読むことで、当時の教育のレベルの高さに驚き、戦後における教育の質の劣化を実感することができるでしょう。現在の中学1、2年生にあたる高等科1年生、2年生向けの内容は、歴史だけではなく、近代日本のあり方を考えさせられる良い教材となっています。
また、国民学校の教育体制は初等科と高等科で完結する形で構成されており、同じく『復刻版初等科国史』との併読が強く推奨されています。この2つの教科書を通じて、日本の歴史だけでなく、当時の教育方針や国民意識についても深く考えることができるでしょう。
本書の影響力と今後の展望
70年以上の時を経て、復刻版として現代に蘇った本書は、歴史教育や国民のアイデンティティに大きな影響を与えています。戦後の教育制度や価値観と比較しつつ、日本が直面してきた歴史的試練や、それを乗り越えようとした先祖の姿勢を理解する手がかりが得られることから、今こそ読み解く価値がある書籍と言えるでしょう。
新たな視点で日本の歴史を学びたい方々にとって、この幻の教科書『復刻版・高等科国史』は、まさにその良き機会を提供してくれます。
書籍情報
- - 書名: 復刻版] 高等科国史
- - 著者: 文部省
- - 仕様: A5並製・296ページ
- - ISBN: 978-4802401111
- - 発売日: 2021年1月23日
- - 価格: 1800円(税別)
- - 発行: ハート出版
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