UMAMI Bioworksが水産業の革新をもたらす新技術を発表
UMAMI Bioworksの革新技術
2025年12月4日、東京。UMAMI Bioworksが発表したバーチャル・マリンセル(Virtual Marine Cell)は、養殖やマリンバイオアクティブ探索の未来を見据えた画期的な技術です。この技術は、人工知能(AI)と機械学習を用い、水生生物の内部生物学的プロセスを精緻にシミュレーションします。
この新しい計算エンジンは、観察から予測への転換を促進します。特に、日本の重要な水産資源であるマグロやサケ、ウナギなどを対象にして、実際の魚細胞がどのように成長するのか、環境にどう反応するのか、さらには代謝物をどのように生成し、分泌するかをモデル化します。これにより、従来数年かかっていた開発サイクルを大幅に短縮し、高い予測精度を実現しています。
日本の水産業は、様々な課題に直面しています。水温上昇や疾病への対応、さらには飼料価格の高騰や稚魚供給の不安定さがその一部です。実際、過去10年間で平均産地価格は40%以上も上昇し、漁業生産量は1984年のピーク時から67%も減少してしまいました。また、日本周辺の魚種の約56%は資源水準が「低位」に分類されています。
これらの課題の多くは、細胞レベルの問題に根差しています。成長のばらつきや免疫応答、そしてストレスに対する耐性などを正確に把握することは難しく、養殖業界全体に影響を及ぼしてきました。しかし、バーチャル・マリンセルにより、研究者や生産者はこうした動態を直接モデル化しやすくなります。その結果、強固な生産体制の確立や、生存率の向上、そして栄養品質の向上が実現できるのです。
さらに、このプラットフォームは日本が誇るマリン由来機能性素材の分野においても貢献します。マリン由来の脂質やペプチド、酵素、バイオアクティブ物質は、スキンケアや栄養、さらには医薬品分野において重要な役割を果たしていますが、従来はその探索には多くの時間とコストがかかっていました。バーチャル・マリンセルを利用することで、代謝経路の解析が迅速に行われ、数日間で高付加価値な物質を特定することが可能になります。
「水産業界には、これまでこのような計算エンジンは存在しませんでした。バーチャル・マリンセルによって、水生生物学の不確実性が解消され、ソフトウェアの速度で意思決定ができるようになります」とUMAMI Bioworksのプロダクト・戦略マネージャーである本田二仲氏は語ります。
UMAMI Bioworksは、日本の水産、養殖、バイオテクノロジー企業と協力し、国内でのイノベーションのパイプラインを構築しています。これにより、バーチャル・マリンセルは、生産性や環境への適応能力、育種の最適化といった実際の問題に取り組むことができます。そして、UMAMI Bioworksは今後、東京にAIイノベーションセンターを設立する予定で、更なる技術革新を目指していきます。
バーチャル・マリンセルは、日本の水産業の生物学的パフォーマンスを向上させ、将来の気候変動や供給の課題に備えた予測インフラを提供することで、日本の食料安全保障を支援します。この技術はAI主導の水産イノベーションの新しい時代の到来を告げるものといえるでしょう。
UMAMI Bioworksについて
UMAMI Bioworksは、AI駆動のツールと培養水産技術を活用し、海洋経済全体の持続可能な成長を加速するグローバルなアクアテック・イノベーターです。日本の投資家には、マルハニチロ株式会社、東洋製罐グループホールディングス株式会社、アントロッド株式会社などが名を連ねており、Aqua-SparkやHatchといった世界的なブルーエコノミー投資家とも連携しています。
会社情報
- 会社名
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Umami Bioworks合同会社
- 住所
- 東京都港区西新橋1丁目1番1号
- 電話番号
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070-9028-4390