児童労働撤廃に向けた新しい取り組み
2023年6月6日、国際協力機構(JICA)が主導する「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」の児童労働撤廃分科会が、記者発表会を開催しました。この会合は、6月12日の「児童労働反対世界デー」を前に、カカオ産業における児童労働の問題とその解決に向けた取り組みが紹介される場となりました。特に、児童労働撤廃に向けた共同コミットメントを強調しました。
児童労働に関する国際的な取り組みはますます重要性を増しています。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の中で、2025年までにすべての形態の児童労働を撤廃するという目標が設定されていますが、最新の国際労働機関(ILO)と国連児童基金(UNICEF)のデータによれば、世界には依然として約1億3,800万人もの子どもが児童労働に従事しています。この状況を改善するため、様々な組織が連携を深め、自らの役割を果たすことが求められています。
JICAの取り組みと現状
記者発表会では、JICAの琴浦容子氏が、児童労働の圧倒的多数がサブサハラアフリカに集中している現状を説明しました。地域の人口増加や紛争の長期化、深刻な貧困、社会保障制度の疲弊が影響し、児童労働の数は減少していないのが実情です。特にガーナにおいては、カカオ産業や水産業に従事する子どものうち21.8%が児童労働に巻き込まれています。これは、カカオ原料の70%をガーナから輸入している日本にとって深刻な問題です。
発表会では、明治ホールディングス、ロッテ、森永製菓の三社が、児童労働撤廃に向けた具体的な取り組みを紹介しました。これらの企業は、児童労働監視改善システムを導入し、啓発活動を通じて子どもたちの権利を守る努力をしています。また、認定NPO法人ACEは、現地での実態調査や地域との連携を推進することで、ガーナにおける「児童労働フリーゾーン」の実現に向けた活動を報告しました。
共同コミットメントの意義
共同コミットメントでは、参加する企業や団体が2021年に掲げた「児童労働撤廃に向けたセクター別アクション」を指針とし、今後もカカオ生産における児童労働の撤廃に向けた取り組みを継続して行っていく意向を示しました。このような動きが強まることで、児童労働の問題を解決し、子どもたちの健全な成長を支援する環境が整備されることを期待しています。
サステイナブル・カカオ・プラットフォームの理念
「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」は、持続可能なカカオ産業を目指して2020年に設立されました。目標は、農家の貧困、森林破壊、児童労働といったカカオ産業の抱える課題に対して、様々な関係者が共に解決を図ることです。現在、74の正会員と145の準会員が参加しており、その中には業界団体、食品メーカー、商社、NGO、コンサルティング企業などが含まれています。
未来への道筋
児童労働撤廃と持続可能なカカオ産業の実現には、全ての関係者の協力が不可欠です。JICAはこれからも、国際的なパートナーと共に子どもたちの未来を守るための取り組みを推進していくことを宣言しました。私たちもまた、カカオの消費者として、持続可能な選択をすることが求められています。