「Internet Week 2024」での脆弱性管理の重要性
2024年11月、東京で開催された「Internet Week 2024」にて、ハートビーツのインフラエンジニアである伊藤俊一が登壇しました。本イベントでは、「脆弱性管理をみんなで議論しよう!」というテーマの下、情報セキュリティ分野における脆弱性管理の現在の状況や課題に焦点が当てられました。特に、一般的な運用方法に依存せず、自動化された脆弱性管理の取り組みが注目を集めました。
脆弱性情報管理の仕組み
伊藤の講演では、顧客に代わってインフラの運用を担うMSP(マネージドサービスプロバイダー)として、どのように脆弱性情報の管理が行われているかについて語られました。具体的には、ハートビーツが保守・運用している300システム・8000台に及ぶサーバの現状を基にした説明がありました。
顧客システムの脆弱性を管理するために、従来の「根性」頼みの運用から脱却し、仕組み化と自動化を進める方針が採られています。各脆弱性への対応も記録として保持され、それによって運用の透明性が向上しています。
エージェントを活用した効率的な管理
特に注目すべきは、運用目的に特化した「エージェント」の導入です。このエージェントは、サーバのバージョン情報を一括で取得し、対応が必要な脆弱性を迅速に特定する機能を持っています。この仕組みにより、リアルタイムでの脆弱性情報の分析が可能となり、適切な対応が迅速に実施されるようになっています。
トリアージの重要性とそのアプローチ
伊藤氏は、脆弱性管理におけるトリアージの難しさについても言及しました。ハートビーツでは、脆弱性の「緊急性」と「話題性」を評価軸として用いて、対応の優先順位を決定しています。このアプローチにより、効率的なリソースの配分が可能となり、さらに顧客との認識のズレを減少させる手助けもしています。
現実的な攻撃シナリオの提示
顧客とは時に「温度感のずれ」が生じることがあります。「問題が次から次へと発生し、緊急に対応が必要か?」という議論は、しばしば顧客とのコミュニケーションの障壁になります。伊藤氏のセッションでは、脆弱性に対する「現実的な攻撃シナリオ」に基づく説明が有効であり、これを活用することで合意を得やすくなることが示されました。
「具体的なシナリオを提示することで、お客様にも危険度を理解してもらいやすくなり、対応が必要な場合も円滑にコミュニケーションが図れる」とのことです。
まとめ
「Internet Week 2024」での伊藤俊一の講演は、脆弱性管理の現状を見直し、実践的なアプローチを共有する貴重な機会となりました。ハートビーツが推進する脆弱性管理の仕組みや、自動化の取り組みは、今後のセキュリティ向上にも大いに貢献すると期待されます。本日の議論は、私たちが今後直面するであろうサイバーセキュリティの課題にしっかりと向き合うヒントを与えてくれるものでした。セッションの詳細はアイティメディアのウェブサイトで確認できますので、ぜひ読むことをお勧めします。