新入社員のワーク・エンゲイジメント向上に必要なフィードバックとは
株式会社アトラエが、新入社員に対する上司のフィードバックとワーク・エンゲイジメントとの関連について調査を行いました。ここでは、その結果と重要性について詳しく解説します。
研究の背景
近年、日本企業は深刻な人手不足に直面しています。この状況を受けて、新入社員の早期離職を防ぐことが企業の重大な経営課題として浮上しています。特に「ワーク・エンゲイジメント」という概念、つまり仕事に対する活力や熱意、没頭を形容する心理状態が、この問題解決に向けて注目されています。しかし、新入社員に対する具体的な施策が十分に示されていなかったため、今回の調査が行われました。
研究の概要
調査対象
営業職に配属された59名の新入社員を対象に、入社後のワーク・エンゲイジメントを調べました。
調査方法
- - 新入社員の入社直後、集合研修終了後、店舗配属後の3回にわたりアンケートを実施しました。
- - アンケート内容には、上司からのフィードバックや職務に必要な要件との適合感、ワーク・エンゲイジメントに関する質問が含まれています。
- - 分析法には構造方程式モデリングを使用しました。
結果の解説
調査の結果、フィードバックがD-A fit(必要要件と自己能力との適合感)を介してワーク・エンゲイジメントに影響を及ぼす過程には、入社後の時間経過に応じて変化があることが明らかになりました。具体的には、以下のような結果が得られました。
研修期間のフィードバック
研修の段階では、ポジティブフィードバックがD-A fitに正の影響を与えていましたが、D-A fit自体はワーク・エンゲイジメントとは有意な関係がありませんでした。この段階では、新入社員にとって新たな環境に慣れることが最優先されているようです。
店舗配属後のフィードバック
一方、店舗に配属された後は、ネガティブフィードバックがD-A fitに正の影響を与え、さらにはD-A fitもワーク・エンゲイジメントと関連していることが確認されました。ここでのネガティブフィードバックの重要性が強調されます。
組織への提言
この研究を受けて、組織内での新入社員の育成について以下の3つの点が重要であると考えられます。
1.
能力向上への実感:
フィードバックによって仕事の要求水準に達していると感じることが、ワーク・エンゲイジメントの向上に繋がります。ネガティブ・フィードバックを使いながら、職務に求められる能力を明確にし、成長を実感させることが必要です。
2.
ネガティブ・フィードバックの価値:
新入社員に対するフィードバックはポジティブであるべきという印象がありますが、時には課題を明確にするネガティブ・フィードバックが確かに必要です。これにより、彼らは成長のために具体的な方向性を得ることができます。
3.
柔軟なキャリア支援の必要性:
D-A fitは時間とともに個人差が大きくなるため、必要に応じて柔軟に職種転換ができる体制を整えておくことが、社員定着に寄与するでしょう。
まとめ
本研究によって、新入社員がワーク・エンゲイジメントを高めるためには上司からの適切なフィードバックが不可欠であることが示されました。ポジティブ・ネガティブの両方をうまく活用し、社員の成長を後押しする環境作りが求められます。新しい環境での活躍を支えるため、フィードバックの重要性を再確認することが企業の未来を左右する鍵と言えるでしょう。