サイボウズの新しい試み
最近、サイボウズ株式会社が不登校支援に新たな取り組みを発表しました。2035年8月までに、不登校の初期段階を支える政策提案を具体化し、自治体と教育委員会、フリースクール向けのkintoneアプリパックを無償で提供することが決定しました。このパックは、不登校の相談をオンラインで手軽に受け付け、フリースクールの業務を効率化するためのものです。
なぜこの取り組みが必要なのか?
教育現場では、小中学生の不登校児童が11年連続で増加し、過去最高の数を記録しています。特に、不登校の初期段階においては、保護者がどこに相談すれば良いのか分からず、苦しむケースが多いとされています。こうした背景から、サイボウズは2024年12月に不登校の子どもを持つ保護者1,000名に対するアンケート調査を実施、さらに2025年3月には不登校経験のある保護者へのインタビュー調査を行いました。その結果、保護者支援の重要性が明らかになったのです。
また、文部科学省も「COCOLOプラン」により、地域の支援機関の情報をまとめ、保護者が必要な支援にアクセスできるように求めています。この新しいアプリパックは、その方針に沿った形で、現場導入を容易にすることを目指しています。
アプリパックの主な機能
1. 自治体・教育委員会向け 不登校相談窓口アプリパック
このアプリパックでは、保護者からの不登校に関する相談をオンラインで匿名で受け付ける仕組みを提供します。また、相談の緊急度を「緊急」「低緊急」「その他」に分類し、対応状況を見える化することが可能です。これにより、相談内容や担当者、対応履歴をkintoneで一元管理できるため、対応の属人化を防止しつつ、蓄積された情報が「よくある質問」のデータベースとしても活用できます。
2. フリースクール向けアプリパック
こちらはフリースクールの日々の運営を支援するためのパックです。生徒名簿や出欠管理、活動記録、会計など、多岐にわたる運営業務が簡便に行えます。また、保護者や在籍校との情報共有もスムーズにできる仕組みになっており、オンラインで必要な書類の発行なども可能です。
具体的な導入の流れ
これらのアプリはすでにユーザーの方に対して無償で提供されており、特別な申し込みは必要ありません。ダウンロードして手引きに従えば、すぐに活用可能です。ただし、一部機能を利用するにはkintoneの契約が必要です。
今後の展望
サイボウズのソーシャルデザインラボは、今後も不登校初期の保護者支援と地域連携を進め、現場での即導入ができる仕組みを拡充していく方針です。自治体や教育機関、フリースクールとの一層の連携を深め、保護者が孤立せずに子どもと向き合える環境作りへ貢献していくことを目指しています。期待が高まるこの取り組みの全貌に、今後も注目が寄せられることでしょう。