京都と岩手の企業が手を結ぶ
M&Aがもたらす新たな挑戦
近年、M&A(合併・買収)の選択肢が特に経営者の高齢化や後継者不足といった課題解決の一手として注目を浴びています。2024年9月、株式会社ペアキャピタルが支援したM&Aにより、京都のプリント基板設計企業、株式会社ライズコーポレーションと岩手のIT企業、イーストライズ株式会社が新たなビジネス展開を図ることになりました。
このM&Aの背景には、日本全体の中小企業が直面している後継者不在の問題があります。2025年問題とも呼ばれるこの状況では、現存する国内の企業の約3分の1、127万社が潜在的な後継者不在にあると言われています。これに伴い、毎年約5万社が経営者により清算されています。経営者の高齢化や次世代経営者の不足が、廃業の増加に拍車をかけています。こうした状況の中で、M&Aのニーズが高まっています。
ライズコーポレーションの理念
ライズコーポレーションは、電子機器に用いるプリント基板の設計から製造、調達までを行っています。設立から34年を迎え、地域に密着した事業を展開してきました。しかし、創業者で次期代表の柳田氏は高齢化を感じ、65歳での引退を決意しましたが、後継者不在のためM&Aを選択しました。これにより、事業承継をイーストライズに行うことができました。
社員や取引先の未来を考えた結果の決断であり、これからは新たな企業に引き継がれることになりました。今後の展望として、イーストライズが持つ技術力や資源を活用し、さらに革新をもたらすことが期待されています。
イーストライズの成長
一方のイーストライズ株式会社は、若いITエンジニアを育成すると同時に、地方における雇用機会の創出を目指しています。設立から11年とまだ若い企業ですが、既に京都にオフィスを構え、増大する事業需要に応えています。この度のM&Aを通じ、ライズコーポレーションが培ってきた人材、技術、ブランド力を確実に引き継ぎ、拡大を目指しています。
M&A実現の過程
両社は異なる地域に本社を持ちながらも、それぞれの強みを持ち寄ることで相互に補完し合う形でM&Aを実現。プロセスの中で、ペアキャピタルがしっかりとサポートにあたり、デリケートな交渉も成功裏にまとめました。両社は今後、合併によって生じる新たなシナジーを生かしていくことでしょう。
また、両社の代表者へのインタビューも行われており、M&Aの意義やこれからの展望について詳しく語られています。
計画的な受け継ぎの重要性
M&Aは単なる企業の買収や売却だけでなく、企業にとっては長期的な視点での経営戦略の一部でもあります。特に日本の中小企業は、このような計画的な受け継ぎが今後ますます重要になるでしょう。ペアキャピタルは、このようなニーズに応えるべく、今後も事業の展開を続けていきます。
まとめ
今回のM&Aは、京都と岩手という異なる地域間でのビジネス連携の新たなモデルを示すものです。後継者不足や高齢化の際にM&Aが果たす役割について、企業経営者や投資家にとって再考の機会を提供しています。さらなるローカル産業の発展に期待が寄せられています。