オムロン サイニックエックスがICLR2025で新たなAI研究を披露
オムロン サイニックエックス株式会社(以下、OSX)は、シンガポールで開催される国際会議『The Thirteenth International Conference on Learning Representations(ICLR 2025)』にて、最先端の機械学習研究成果を発表します。この会議は、ディープラーニングや表現学習に関する権威ある国際カンファレンスであり、2025年4月24日から28日(現地時間)にかけて行われます。
発表される研究内容
OSXからは、特に注目される二つの研究論文が発表される予定です。それぞれの研究テーマと内容を見てみましょう。
1. Rethinking the role of frames for SE(3)-invariant crystal structure modeling
この研究の著者は、OSXと大阪大学の研究者たちで構成されています。私たちの日常生活に密接に関わる材料デバイス、磁石や半導体の性能向上に向けて、特に高性能バッテリーや超伝導体の開発が進められています。しかし、材料開発には、多くの試行錯誤が必要とされることが問題です。そこで、AI技術を利用し、そのプロセスを効果的に進めることが期待されています。
この研究では、結晶構造を基に材料の物性を予測するためのトランスフォーマー型ニューラルネットワーク「CrystalFramer」を提案します。従来の「フレーム」手法を拡張し、新たに「ダイナミックフレーム」という概念を採用。これにより、従来のモデル「Crystalformer」を改良し、結晶構造の三次元情報を高精度で捉えられる実績を持っています。
2. Near-Optimal Policy Identification in Robust Constrained Markov Decision Processes via Epigraph Form
別の研究では、強化学習に関する新しいアプローチが示されています。こちらの研究者チームもOSXメンバーが名を連ね、東京大学や京都大学の研究者たちとの共同作業です。実世界のデータ差異への頑健性と理論に基づく安全性を兼ね備えたアルゴリズムが求められています。この研究では、エピグラフ形式による強化学習手法を提案し、実験においてもその効果を確認しました。
ワークショップ発表
さらに、ICLR2025に併催されるワークショップ「AI for Accelerated Materials Discovery(AI4Mat)Workshop」においても発表が行われます。発表の一つ『Transformer as a Neural Knowledge Graph』では、言語モデルと言晶構造の対照学習における課題を解決するための新たなアプローチとして、ニューラル知識グラフを提案しています。これにより、結晶構造検索の性能が向上することが実験上確認されています。
オムロン サイニックエックスについて
OSXはオムロンの近未来デザインを実現するための戦略拠点であり、AIやロボティクス、IoTといった先端技術を駆使して、社会的課題解決に取り組んでいます。大学や外部研究機関との連携によって、より革新的な研究開発を推進しています。
このように、OSXはICLR2025においても注目される研究を発表し、今後の機械学習技術の発展に寄与していくことでしょう。技術革新の波に乗り、新たな発見に期待が寄せられます。