日本初の民間災害支援拠点、VTCが誕生
2015年3月7日、茨城県つくば市に新たな災害支援の拠点となる「日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(VTC)」が開所します。これは、災害発生時に必要な技術を持つボランティアを育成し、災害現場に即応できる体制を整えるための施設です。日本財団ボランティアセンター(以下、日本財団ボラセン)が推進するこのプロジェクトは、特に重機の操作技術に焦点を当て、被災地での迅速な支援を実現することが目的です。
災害支援における新たな課題
日本では、震災や豪雨などによる災害時において、現場での救助作業の迅速化が求められています。特に、重機の不足が問題視され、実際の事例では緊急車両が現場に入れない事態が発生しても、必要な重機が十分に活用できていないことがしばしばあります。これは、人的資源や技術の不足が影響しているからなのです。多くのボランティアがありながら、専門的な技術を持った人材の育成が追いついていない現状を受け、VTCの設立が急務とされています。
VTCの役割と機能
VTCでは、使用する重機を運転するための訓練や、ボランティアとして活動するため必要な知識を学ぶことができます。施設には、16台の重機や資機材が整備されています。これにより、市民が災害時に実際に役立つ技術を習得できる環境が整えられました。また、教室や訓練フィールドも設けられており、座学から実技まで幅広い内容の講座が提供され、実践的な技術習得が可能です。
1. 充実した設備
VTCは小型から大型まで様々な重機を揃えており、その中にはショベルカーやダンプカーなどが含まれます。このため、被災地の地形や状況に応じた対応が可能となり、災害時の復旧活動を効果的に支援する体制が整っています。特に、重機の操作に関しては初心者向けの講座から、中級者向けの専門技術習得まで、多様なコースが用意されています。
2. 学びやすい環境
これまでに既に数千人以上の受講者がいるVTCでは、実践的なスキルを学ぶための講座が毎月開催されています。例えば、災害現場でのボランティア活動の基礎や、被災者とのコミュニケーション技術、重機の安全な操作方法などがカバーされています。オンライン配信も行われ、地方からでも参加することができます。
3. 緊急時の支援体制
災害が発生した際、VTCはすぐにボランティアを派遣し、必要な重機を貸し出す体制を整えています。これにより、迅速に復旧支援が行えると同時に、各地で発生する災害への対応を強化することが目指されています。加えて、連絡協議会「VTCネットワーク」を設置し、全国規模での情報共有を図ることで、各組織や団体が迅速に協力する仕組みも構築されています。
市民参加による災害支援の強化
日本財団ボラセンが強調しているのは、市民が中心となって災害支援活動を行える新たなモデルの構築です。VTCの開所により、学生やシニア層を含む幅広い市民が災害支援のスキルを習得し、非常時における「市民の力」を最大限に引き出すことが期待されています。実際に仮オープンの際には、多くの消防士が参加し、技術者としての成長機会を得ることができました。
まとめ
日本初の民間災害支援拠点「日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(VTC)」は、災害時において重要な役割を果たすことが期待されています。市民の技術を育成し、災害時の迅速な対応を実現するこの施設が、今後どのように発展していくのか、大変楽しみです。進化する災害支援の形として、多くの関心が寄せられています。