神戸の郊外団地が駅前化へ！子育て世帯を呼び込むJR・LUUP連携の新プロジェクト始動

郊外での暮らしは、広々とした住空間や豊かな自然に恵まれる一方で、「駅から少し遠い」という交通の利便性が課題となることがあります。しかし、神戸市と西日本旅客鉄道株式会社（JR西日本）が連携して進める画期的な実証実験「団地まるごと駅マエ化プロジェクト」は、この長年の課題に新たな光を当て、郊外の団地生活を劇的に変えようとしています。2025年度の参加者募集が始まったこのプロジェクトは、若年ファミリー世帯をターゲットに、住まいと移動を一体化したこれまでにないライフスタイルを提案します。

このプロジェクトの舞台となるのは、神戸市垂水区に位置する若年ファミリー向け賃貸住宅「シティハイツ狩口」です。JR朝霧駅から徒歩圏内にありながらも、鉄道利用と地域内移動の双方を強力にサポートすることで、文字通り団地全体を「駅マエ」のような利便性の高いエリアへと変貌させることを目指しています。

具体的な特典は、新規入居する若年ファミリー世帯（夫婦年齢合計90歳以下、または未就学児のいる世帯。2025年度より対象年齢が拡充されました）に対し、移動をよりスムーズにする二つの強力なインセンティブを提供します。一つ目は、JR西日本グループの共通ポイントサービスである「WESTERポイント」の付与です。指定区間（明石～三ノ宮駅など）からの鉄道利用一乗車につき150ポイントが貯まり、最大で21,000ポイントまで獲得可能です。これは、通勤や通学、休日のレジャーなど、日々の鉄道利用がお得になるだけでなく、貯まったポイントは様々なJR西日本グループのサービスで利用できるため、生活の質を高める大きな助けとなるでしょう。二つ目は、電動シェアマイクロモビリティ「LUUP（ループ）」の利用クーポンです。最大10分×40回分のクーポンが付与され、JR朝霧駅周辺や団地内に設置された13箇所のポートを利用することで、駅と団地間の「ラストワンマイル」を快適に移動できます。ちょっとした買い物や子供の送り迎え、あるいは地域内の散策など、これまで自転車や徒歩に頼っていた短距離移動が格段に便利になり、行動範囲が広がります。

参加を希望する世帯は、2025年4月1日から2026年1月1日の期間内にシティハイツ狩口に新規入居し、神戸市の住みかえーる制度に申請する必要があります。その後、JR西日本の公式アプリ「WESTERアプリ」をダウンロードし、ICOCAを発行した上で専用フォームから申し込みます。この実証実験の成功には、入居者の協力が不可欠であり、1年以上の居住と、3か月に1回程度の定期的なモニタリング（アンケートやインタビュー）への協力が参加の要件となります。

「シティハイツ」は、神戸市が運営する若年ファミリー向け賃貸住宅で、子育てに適した広々とした間取りと、リーズナブルな家賃が魅力です。仲介手数料、礼金、更新料が全てゼロという初期費用の抑えられた設定に加え、新婚・子育て・多子世帯には月額家賃が2割減免される制度もあり、経済的な負担を軽減しながら快適な暮らしを始めることができます。シティハイツ狩口はRC造5階建ての5棟、全90戸で構成されており、家賃は月額73,000円（減免適用世帯は58,400円）、専有面積は67.79㎡の3LDKという広々とした間取りが特徴です。JR朝霧駅へは徒歩約8～12分、バス停「明舞団地口」へも徒歩約13分と、公共交通機関へのアクセスも良好です。

この「団地まるごと駅マエ化プロジェクト」は、単なる住宅提供に留まらず、交通手段と住環境をシームレスに結びつけることで、郊外団地での子育て世代の暮らしに新たな価値を創造します。都心へのアクセスを向上させながら、地域内での移動も手軽にするこの試みは、持続可能なまちづくりと、多様なライフスタイルの実現に向けた神戸市とJR西日本の強い意志を示すものです。未来の団地暮らしは、きっともっと便利で豊かになることでしょう。