三菱重工サーマルシステムズが新型「ETI-N」ターボ冷凍機を導入
三菱重工サーマルシステムズ株式会社は、日本市場向けに磁気軸受ターボ冷凍機「ETI-N」シリーズの受注を開始した。この新製品は、自社開発の磁気軸受圧縮機を採用しており、潤滑油を必要としない仕組みが特徴だ。これにより、定期的な潤滑油の交換が不要となり、メンテナンスの負担が大幅に軽減される。
磁気軸受の利点
「ETI-N」シリーズは、磁気の力で圧縮機内の回転シャフトを浮かせる技術を利用している。この方式により、摩耗の原因となる摺動部品の使用が排除され、運転効率の向上に寄与している。従来の冷凍機で必要とされる油ポンプの起動や油膜形成の手間も省かれ、ターボ冷凍機の迅速な起動が可能となっている。これにより、顧客の運用効率が大いに向上する見込みだ。
環境性能と冷凍能力
この新型冷凍機は、150〜700冷凍トンと、小・中容量モデルを中心に展開されている。また、冷凍機本体にはインバータが標準で搭載されており、コンパクトな設計が施されている。このため、搬入性や設置工事の工数も軽減される。
冷凍の効率を示す定格COPは6.4、IPLVは9.1と高い数値を記録し、環境への配慮を考慮した新冷媒、HFO-1233zd(E)を使用している。この冷媒は、地球温暖化係数(GWP)が1であり、オゾン層を破壊しないため、業界内でも非常に注目されている。
これまでの進展と今後の展望
これまでも三菱重工サーマルシステムズは、環境へ配慮した数々の冷凍機を展開してきた。2015年にはHFO-1233zd(E)冷媒を使用した「ETI-Z」を、2017年には「GART-ZE/ZEI」を、2022年には「JHT-Y/YI」を市場に投入。そして今回の「ETI-N」シリーズの投入によって、より幅広い顧客ニーズに応えることが期待されている。
三菱重工グループは、2040年までにカーボンニュートラルの達成を目指し、生産過程でのCO2排出量の削減に取り組んでいる。特に、同社が提供するターボ冷凍機は、一般空調や工場プロセス、地域冷暖房などに多数供給されており、国内でのシェアも非常に高い。この新たな技術は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な一歩となるだろう。
結論
以上のように、三菱重工サーマルシステムズの新型ターボ冷凍機「ETI-N」シリーズの登場は、環境性能の向上のみならず、運用効率向上にも寄与することが期待される。今後、同社がどのようにこの技術を発展させていくのか、その動向から目が離せない。
担当窓口:三菱重工サーマルシステムズ株式会社