大日本印刷が新しい透明蒸着フィルムを発表
大日本印刷株式会社(DNP)は2024年10月、ケミカルリサイクルしたポリエチレンテレフタレート(PET)を利用した透明蒸着フィルム『DNP透明蒸着フィルム IB-FILM®』を発表しました。この新製品は、水蒸気や酸素などのガスの透過を防ぎ、食品や医薬品のパッケージに求められる高い衛生性を兼ね備えています。
ケミカルリサイクルとは?
ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学的に分解し、その原料を再利用するプロセスです。この手法は、物理的に粉砕するマテリアルリサイクルとは異なり、化学的に処理するため、微細な異物を除去することができ、再生プラスチックの品質が向上します。これにより、バージン樹脂と同等の品質のリサイクル樹脂が得られるのです。
DNP透明蒸着フィルムの開発背景
最近、環境への配慮から持続可能な資源利用が求められるようになっています。この中で、パッケージに使われる再生材料の調達が重要視されています。従来のマテリアルリサイクルでは、異物混入や汚染の除去が不十分で、衛生性に欠けるという課題がありました。そこで、DNPはケミカルリサイクル技術を駆使し、衛生性が高いフィルムを開発しました。
特徴1: 高い衛生性
DNPの新製品は、食品衛生法にも適合した高い衛生性を誇ります。ケミカルリサイクルによる再生PETフィルムを使用することで、フィルム自体の品質を維持しつつ、優れた衛生性を実現しました。これにより、食品や医療用パッケージとしての信頼性が高まります。
特徴2: 高いバリア性
新しいIB-FILMは、DNP独自の蒸着・コーティング技術を活かしています。この技術によって、従来のIB-FILMと同等の高いガスバリア性を持ち、水蒸気や酸素の透過を低く抑えることができ、食品の鮮度や医療用品の無菌性をしっかりと保つことが可能です。
特徴3: 耐熱性
本フィルムは、レトルトやオートクレーブ処理も行える耐熱性を備えています。複数のフィルム層を工夫することで、殺菌処理後もバリア性を維持し、内容物の長期保存を可能にしています。
特徴4: 環境に配慮した設計
DNPの新フィルムは、基材のケミカルリサイクルPETフィルムに30%以上のリサイクルPET樹脂を使用しています。この選択は、バージン樹脂の使用と比較して、CO₂排出量の削減にも貢献しています。
今後の展開
DNPは、食品、医療、産業資材のメーカーに向けてこの新製品を提供し、2026年度には30億円の売上を目指しています。また『DNP透明蒸着フィルム IB-FILM』のラインアップを拡充し、持続可能な原料調達を進めながら、品質を両立した製品の提供を目指します。
新フィルムの詳細は、2024年10月23日から25日にかけて東京ビッグサイトで開催される「東京国際包装展」で展示される予定です。これは、DNPの最新技術を見られる絶好の機会となるでしょう。興味のある方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。