更生支援の新たな潮流:当事者主体型の「生きなおし」を応援
一般財団法人ワンネス財団は、2024年11月2日に大阪国際交流センターにて、ウェルビーイング・シンポジウム「新たな立ち直り支援への眺望 〜生きがいと、生きなおす〜」を開催しました。司法、矯正、更生保護、福祉関係者など、幅広い分野の専門家や関係者が集まり、従来の支援者中心の支援から脱却し、当事者が主体的に「生きなおし」を応援する新たな支援のあり方を探求する貴重な機会となりました。
法務省矯正管区長が語る「これからの更生支援」
シンポジウムの第1部では、法務省大阪矯正管区長の日笠和彦氏が登壇し、「これからの更生支援を考える 〜矯正施設の取組と課題〜」をテーマに講演を行いました。日笠氏は、刑事施設内での処遇の現状や、拘禁刑導入をはじめとする今後の取り組みについて詳しく解説しました。特に、職員の意識改革の重要性を強調し、更生支援の現場における課題と今後の展望を明確に示しました。
加害者と被害者が共に歩む「生きなおし」
第2部のパネルディスカッションでは、「支援者からメディエイター(仲介者)へ」をテーマに、熱띤議論が展開されました。パネラーには、西田利昭氏(奈良県地域生活定着支援センター長)、緒方伸子氏(北新地クリニック放火事件被害者家族)、ワンネス財団顧問の中島学氏(福山大学教授)が参加しました。ワンネス財団共同代表の伊藤宏基氏、三宅隆之氏も加わり、活発な意見交換が行われました。
議論では、支援者中心の非対等な関係から、仲介者へと立場を変えていく必要性が指摘されました。また、支援対象者と同様の生きづらさを抱える当事者による伴走応援の重要性も強調され、加害者支援だけでなく被害者支援における新たな視点も提示されました。
特に、被害者と加害者が共に「生きなおし」を語り合う場が設けられたことは、多くの参加者に深い感動を与えました。
「生きがい」を軸にした支援の必要性
シンポジウム全体を通じて、経験者自身が積極的に関与する「生きがいをもった生きなおしの応援」の重要性が強調されました。会場からは多くの質問が寄せられ、このような取り組みへの高い関心が示されました。
ワンネス財団の今後の展望
ワンネス財団は、今後も全国各地でシンポジウムを開催し、「孤独の解消と自己実現」を支援していくことを表明しました。刑務所内教育や、出所者・出院者のためのライフキャリアスクールの運営、事業開発を通した卒業後の雇用の創出など、多岐にわたる活動を通じて、誰もが自分らしく生きられる社会の実現を目指しています。
ワンネス財団:新たな更生支援のパイオニア
ワンネス財団は、ウェルビーイングが低くメンタルヘルスに課題を抱える人々の心身の回復と成長を支援する専門機関です。従来の更生支援とは異なる、当事者主体型の「生きなおし」を応援する新しいアプローチを採用しており、更生支援の分野において注目を集めています。
今回のシンポジウムは、ワンネス財団が目指す「生きがいをもった生きなおし」というビジョンを明確に示すものでした。今後も、ワンネス財団の活動を注視していく必要がありそうです。