植草甚一も絶賛したミステリー傑作がついに登場!
2025年11月28日(金)、新潮文庫から、知の巨人として知られる植草甚一が称賛したミステリー小説『終止符には早すぎる』が刊行されます。本作は、アメリカの作家ジャドスン・フィリップスによる幻の傑作であり、過去の名著『雨降りだからミステリーでも勉強しよう』の中で、植草氏はこの作品にまるまる一章を費やしてその魅力を紹介しています。
物語の概要
物語は、賑やかなニューヨークの夜から始まります。一人の若い娘が、アパートメントビルのテラスから飛び降りようとしている場面からスタートします。周囲の警官や近しい者たちの必死の説得にも関わらず、彼女の決意は揺るぎません。その時、容疑をかけられて姿を消していた富豪投資家がこの場に現れ、彼女に近づいていく…。
この作品は1962年に発表された原著であり、半世紀以上の時を経て、再び日本の読者のもとに届くこととなります。ニューヨークの夜の情景が鮮明に描かれ、古さを感じさせない作品であることが特徴です。
キャラクター造形とその魅力
『終止符には早すぎる』で描かれるキャラクターたちは非常に魅力的です。特に、殺人事件の容疑者でありながら同時に孤独を抱える主人公の大富豪は、人間の内面に迫る深いドラマを展開させます。そのキャラクター造形の巧みさは、読者を引き込む要素となっています。
また、この作品は他の海外ミステリーに比べ、陰惨なテーマが少なく、読後感が大変爽やかであることが大きな魅力です。植草甚一は本作の中で、妙な匙加減で人間ドラマを巧みに織り上げる技術に感服したのです。
欲望と孤独というテーマ
物語の中では、登場人物たちの間に漂う欲望や孤独が繊細に描写されています。それぞれが何を求め、どのように対峙するのかを丁寧に表現することで、読者に思索を促すでしょう。このような要素が、『終止符には早すぎる』を他の作品とは一線を画す名作にしているのです。
読者への贈り物
また、巻末には著名な文芸評論家・小山正氏による詳細な解説が付いており、20ページを超える内容が収められています。さらに、著者ジャドスン・フィリップスの広範な創作を網羅する40ページの著作リストも掲載されており、ミステリー愛好者にとっては必携の一冊といえるでしょう。
『終止符には早すぎる』の登場を心待ちにしている人々にとって、これは読書ライフを彩る一作品となるでしょう。ぜひ手に取って、その卓越した文学性を体感してみてほしいです。
書籍情報
- - タイトル: 終止符には早すぎる
- - 著者: ジャドスン・フィリップス/矢口誠訳
- - 発売日: 2025年11月28日
- - 定価: 880円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-241141-4
- - 詳細リンク: 新潮社