三井不動産がChatGPT Enterpriseを全社員に導入
三井不動産株式会社は、2025年10月1日より、OpenAI社のChatGPT Enterpriseを全社員に導入することを発表しました。この決定は、生成AIを活用した業務プロセスの効率化と生産性の向上を目指すものです。およそ2000人の社員が対象となり、全社的なAI推進を行うために約150名の「AI推進リーダー」が設置されています。
生成AIによる業務効率化
同社は、全85部門から選出されたAI推進リーダーを主導に、「カスタムGPT」の開発・運用を進めています。導入から約3か月間で、すでに500件のカスタムGPTの運用が始まっており、部門ごとの特性に応じたAIツールが続々と登場しています。この取り組みにより、今後全社で業務削減時間が10%以上達成されることを目指しています。
また、社長AIエージェントやDX本部長AIエージェント、資料自動生成AIなど、独自のAIプロダクトが内製開発環境で随時展開され、実際の業務にも役立てられています。
AI活用の具体例
特に社長AIエージェントは、植田社長の情報を基にしたAIで、経営方針や市場環境に対する理解を深めるためのサポートを行います。さらに、DX本部長AIエージェントは資料作成の効率化を実現しており、必須の情報を使って社員がより業務を進めやすくする手助けをしています。資料自動生成AIも導入されることで、業務にかかる時間を大きく短縮することが期待されています。
社員の意識改革と教育
全社員を対象に行われるChatGPT Enterpriseの研修では、すでに1,300人以上の社員が参加しており、AIの使い方や利活用のための知識が広がっています。AI推進リーダーが現場のニーズを把握し、自部門に適したカスタムGPTを開発する中で、全社的なAI活用の土壌が整えられています。また、利用開始後の効果測定や啓蒙活動を通じて、AI活用の促進が図られています。
今後の展望
今後、三井不動産は生成AIの活用範囲を広げ、経営の意思決定支援やデータ分析との連携、人手不足の解消を目指しています。「使える形」のAIソリューションを現場に提供することで、全社的な生産性と付加価値の向上を図り、より高度なイノベーションを追求していく方針です。
サステナビリティへの取り組み
三井不動産グループは「共生・共存・共創」の理念に基づき、社会的価値の創出と経済的価値の創出の両立を目指しています。サステナビリティに向けた取り組みとして、環境との共生や安全・安心な社会作り、ダイバーシティの推進に注力しています。このように、国際的な企業競争力を高める中で、持続可能な価値を継続的に創出していきます。
この取り組みは、ただの業務改善に留まらず、社員一人ひとりの価値を高めることにもつながります。今後の三井不動産のAI活用がどのように進展するのか、ますます注目されるところです。