多言語対応の自律型音声AIエージェント、コールセンターでの新時代を迎える
2025年10月28日、シンガポールに本社を置く株式会社Functional AI Partners(FunAi社)と、日本のBPO事業を展開するelDesign株式会社が共同で、多言語対応の音声AIエージェントを開発した。この新しい技術は、コールセンター業務の効率を飛躍的に向上させるものと期待されており、特に人材不足に悩む日本の市場に対する強力な解決策となるだろう。
開発の背景
世界中で進展するAIブームの中、日本のコールセンター業界は遅れをとっている。一方で、海外では音声AIエージェントの導入が進み、特に英語や中国語対応が一般的となりつつある。日本国内でもDX化が進んでいるものの、オペレーターの人材確保は依然として厳しい状況が続いている。このような課題に対する解決策として、AIエージェントの導入が期待される。
AIエージェントの特徴
このAIエージェントは、電話での自然な会話を実現し、問い合わせに対する応答や処理を自動で行うことができる。11 Labs、n8n、Twilioといった先進的なプラットフォームを利用し、日本語の特性に合ったボイストレーニングデータを構築している。これにより、音声認識や応答の精度が向上し、多様な顧客ニーズに対応することが可能となる。
コスト削減への寄与
このAIエージェントを導入することで、コスト削減や業務効率化が期待される。具体的には、従来のオペレーターによる対応に比べ、AIが処理することで応対時間を短縮し、夜間や休日の対応が可能となる。1,000コール規模での試算では、1コールあたりのコストがUS$0.67(約101円)以下となり、一般的な外注費と比較しても一切劣らない価格帯を実現している。
開発の挑戦と今後の展望
日本語特有の発音に関する開発は非常に困難であったが、実際の運用においても十分な応答精度を持つAIエージェントを送り出すことができた。今後はさらなる技術向上を目指していく考えであり、2030年までにはコールセンター業務におけるAIの対応比率を30%に引き上げることを目指す。
また、実際に運用する企業への段階的な導入を進めていくため、コールセンター運用者からの問い合わせも受け付けている。クライアント企業のニーズに即した形での開発・実証が進められ、実際の業務環境での評価が行われることになる。これにより、日本のコールセンター業界におけるAIの存在感が増すことが期待される。
企業の理念
FunAi社は「よりシンプルに」をモットーに、AIエージェントの開発を行い、すでに21名のAIを地域のニーズに応じて開発している。一方、elDesign社はエネルギーや環境、経済の視点から新たなビジネスを展開し、社会課題の解決を目指す法人である。両社のコラボレーションが生む新しい技術は、今後ますます重要な役割を担うことになるだろう。
まとめ
AIエージェントの導入は、コールセンター業務を根本的に変革するものであり、今後市場に大きな影響を与えることが期待される。これは単なる技術革新に留まらず、産業全体の効率を向上させる可能性を秘めている。今後の展開に要注目である。