ドローンによる法面の精密測量に関する新たな試み

新しい測量技術は常に現場の要求に応えながら進化していますが、法面工事におけるICT化も例外ではありません。特に、最近注目されるのがドローンを利用した測量技術です。令和元年度にICT法面工が正式に追加されたことにより、これまで補完データ扱いだった3D点群データが、いよいよ施工管理にも正式に用いられるようになりました。しかしながら、法面工における3次元測量精度は依然として厳しく、クリアすべき課題が残っています。

検証の背景

フル活用されるには、ICT法面工における3次元測量の要求精度を満たす一般的な手法が存在しなかったため、芝本産業と大翔は新たなアプローチを試みました。ドローンを正対させ、自動飛行を行うアプリケーション『Site Scan for ArcGIS』を活用し、実際の法面現場での精度検証を行うことにしたのです。

現場と機材の紹介

検証日の記録は2021年6月25日、場所は滋賀県犬上郡多賀町の法面工事現場です。使用機材は、Phantom 4 Pro v02というドローンと、Site Scan for ArcGISというアプリケーションです。

検証方法

検証内容は、『Site Scan』を使用し、UAVによる自動計測精度がICT法面工の要求に適合するかどうかを検証することです。定義した計測点と標定点を設置し、オフセットやラップ率などのパラメータを変えながら3パターンの計測を実施しました。

計測結果

結果として、すべての計測パターンが法枠工の要求精度（10 mm以下）を満たしたことが確認されました。現場で実測した2点間の距離も、3D点群データ上での計測値と一致し、施工管理に十分な精度であることが実証されました。

現場実用例

実際に測量結果を用いてグラウンドアンカーのマーキング標高をチェックしたところ、設計値通りに確認できました。このことから、ドローンによる計測精度が求められる現場でも十分実用的であることが示されました。

検証結果のまとめ

検証を通じて、『Site Scan for ArcGIS』を使用することで、ICT法面工の精度基準をクリアするUAV測量が可能であることが明らかとなりました。以下に、現場における効果的な測量のポイントをまとめました。

1. Auto flight measurement is achievable with appropriate drone flight applications.
2. Utilizing easily identifiable aerial markers significantly improves accuracy.
3. Adjusting the locations of measurement points leads to more precise results.
4. Sufficient accuracy can be attained with non-prism measurement techniques.
5. Overlap rates and offsets play a critical role in measurement accuracy.
6. Greater numbers of images per aerial marker improve data correction accuracy.
7. By strategically linking images with fewer aerial markers, accuracy is enhanced.

今後の展望

今回の成果は、今後の法面工事におけるドローン活用の一つの道筋を示しました。引き続き、吹付法枠工や簡易吹付法枠工でも新手法の実証を行い、さらなる成果を報告予定です。芝本産業と大翔としては、現場のニーズに応えるソリューションを提供し続け、安全で効率的な法面工事の実現を目指しています。

株式会社大翔は、滋賀県を拠点に法面工事を手掛けており、独自のICT技術を駆使して施工管理を行っています。環境配慮と安全性を両立させた法面保護工事を提供し続けることに加え、大学との共同研究にも力を入れています。今後も法面工事のイノベーションに向けた取り組みを展開していくことが期待されます。

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