脳卒中患者の転倒リスクを減少させる新たな共同研究の始動
EMC Healthcare株式会社(東京都)と医療法人杉村会(熊本県)は、新たに脳卒中患者を対象とした転倒予防プログラムに関する共同研究を開始しました。この取り組みは、医療や介護分野における重要な課題に対応すべく設計されています。
背景
脳卒中は日本及び多くの先進国において主な死因の一つとなっており、高い割合で身体機能に障害を来す可能性がある疾患です。特に入院中の脳卒中患者は、急激な脳機能の低下や身体機能の制約から、転倒のリスクが高まります。転倒による外傷は、入院期間が延びる原因や、予後を悪化させる要因となり得ます。高齢者においては、特に転倒による骨折がリハビリを困難にし、医療費が増大することから、良好な日常生活を支える上で大きな課題となっています。
過去には、入院患者の転倒を防止するためのさまざまな対策が提案されていましたが、効果は限られたものでした。近年、包括的なアプローチが求められる中、本研究は脳卒中患者の転倒リスクを低減し、予後を改善するための新しい介入モデルの開発を目指しています。
研究の概要
杉村病院において、EMC Healthcareが開発した介護DXサービス「OwlCare」を導入し、脳卒中患者の介入を行います。具体的には、入院中の患者に対して、モニタリングセンサーとAIを活用した遠隔モニタリングを実施します。このシステムは行動検知技術を駆使し、リアルタイムで情報を提供することで、看護介入の向上を図ります。
研究の目的は、転倒による外傷の発生を抑え、再入院率の低下を促進し、さらには退院後のADL(Activities of Daily Living)の向上に寄与することです。これにより、転倒防止のための新たな効果的手法を実証し、その相関関係を解明することを目指します。
杉村会理事長のコメント
医療法人杉村会の理事長、杉村勇輔氏は「少子高齢化が進む日本社会において、より良い医療の提供が求められています。特に重度の介護を必要とする脳卒中患者に対して、OwlCareの導入によって急性期医療に介護DXサービスを組み合わせられるかどうかが重要です。この研究は医療界におけるハイブリッドなDXシステムの開発に繋がることが期待されます」と述べています。
OwlCareとは
「OwlCare」は、個別に提供されてきた多様な見守りセンサーやナースコールを統合した、介護業界のためのDXサービスです。AIを活用することで、介護スタッフへの最適な情報提供や、入居者とのインタラクションを強化し、業務効率化と人員配置の最適化を図ります。
この技術は、介護の現場における業務負担の軽減や、離職率の低下など、様々な課題の解決に貢献します。
医療法人杉村会の概要
医療法人杉村会は、全身血管病をテーマに掲げ、脳神経疾患に特化した医療を行っています。2023年度は814件の脳神経疾患関連の入院を記録し、その半数以上が脳卒中患者でした。リハビリテーションについても幅広く対応し、新棟もオープン予定です。
EMC Healthcareの理念
EMC Healthcareは、地域社会のエッセンシャルワーカーをサポートする企業です。赤ちゃんから高齢者まで、誰もが豊かで安心できる生活を送れるよう、ヘルスケアサービスの質向上に取り組んでいます。本取り組みを通じて、両者の協力が脳卒中患者や高齢者のQOL向上に寄与することが期待されています。