富山市のがめ川での取り組み
最近、富山市の住宅街を流れるがめ川で、オイルフェンスを設置して行ったごみ回収プロジェクトが大きな成果を上げました。このプロジェクトは一般社団法人とやまミライラボと富山市との連携により実施され、2ヶ月間にわたって進められました。
オイルフェンス設置の目的
この取り組みは、日本財団が推進する「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環であり、環境問題への意識を高め、特に海洋ごみ対策の重要性を社会に訴えることを目指しています。実際、環境省の調査では、富山湾の漂着ごみの80%以上が陸域から河川を通じて流出したものであることが報告されています。このため、がめ川で流出するごみの実態を把握し、効果的な対策を考える手助けとなるのです。
ごみ回収の結果
設置期間は2023年6月5日から8月5日までの2ヶ月。回収したごみの総重量は41.79kgに上り、内容を分析した結果、約50%が「プラスチックごみ」であることが浮き彫りになりました。具体的には、ペットボトル以外のプラスチックが6.82kg、ペットボトルが13.92kg、缶・ビンが11.2kg、その他のごみが9.85kg回収され、ペットボトルが全体の33.3%、ペットボトル以外のプラスチックが16.3%という割合を占めました。
ごみの約半数がプラスチックである背景には、街の路上でのポイ捨てやごみ管理の不備があると考えられています。特に、バーベキュー等のイベント後のごみや、特定の人物が意図的に捨てたとされるごみも見られるため、地域間の意識向上が必要です。
環境教育への活用
このプロジェクトは、環境教育にも非常に効果的に活用されています。たとえば、富山市は市内の小学4年生から6年生を対象にした「海洋ごみの特別授業を行い、130人の児童がオイルフェンスを使用したごみ回収の現場を見学しました。担当者は、この活動が地域の子どもたちに「私たちの生活区域から出たごみ」が河川に流れ込むことを理解させる重要な意義があると話しています。
また、ごみをポイ捨てしないことの重要性や、適切なごみの出し方を考えるきっかけにすることが期待されています。
今後の展望
この取り組みは2019年度から続いており、毎年回収されるごみの量は天候やその他の条件によって変動しています。しかし、重要なのはごみの量が減少しているのではなく、むしろプラスチックごみの割合が一定であることに警鐘を鳴らすものです。私たちが日常生活から出るごみを意識して取り扱うことで、少しでも海洋ごみ問題の解決に向けての道が開けるのではないかと考えています。
今後も地域住民や子どもたちを巻き込んだ啓発活動を続け、持続可能な環境作りに貢献していく予定です。