AI時代に求められる感情労働と意思決定の重要性
2026年7月17日、東京・豊島区で株式会社sooupコンサルティングの創立10周年記念講演会が開催されました。本イベントには約100名の経営者や管理部門の関係者が参加し、「AI時代における感情労働と意思決定」をテーマにした入山章栄教授の基調講演が行われました。
講演内容の概略
入山教授はAIの進化により、これまで論理や計算に基づいて行われていた意思決定がエージェントに任される時代になると指摘しました。AIは論理的な判断においては優れているため、人間が新たに注視すべきは「感情」に他ならなくなります。これからの職場環境では、感情労働が益々重要な役割を果たしていくというメッセージが強調されました。
教授の講演は主に以下のポイントに焦点を当てました。
1. 「感情の時代」の到来
人間の脳は、理性的な部分を司る大脳新皮質と感情をつかさどる大脳辺縁系に分かれています。AIが得意とするのは論理的判断であり、感情に関する理解や表現は人間にしかできません。これからは感情を使った意思決定が職場での差別化要因になると教授は語りました。
2. 機嫌のいい人が選ばれる時代
人間同士のやり取りが主となる未来において、機嫌のいい人と一緒に働きたいと考えるのは自然なことです。したがって、感情労働が重視され、機嫌の善し悪しが競争力につながる時代が訪れると入山教授は予測しています。
3. 人間のコミュニケーションスタイルの変化
以前は論理的で整理されたプレゼンテーションが求められていましたが、これからは感情に響く伝え方が評価されるようになります。難しいフレームワークを用いたアプローチは通用しなくなるかもしれません。
4. 日本における労働市場の変革
AIの導入が進む中、日本の労働市場は危機を迎えています。特に管理職の仕事はAIに置き換えられつつあり、業務の流動化が求められます。しかし、人口減少によりブルーワーカーの人手不足が深刻になり、新たなチャンスが生まれる可能性も秘めています。
5. 今後の人間が磨くべきポイント
最後に、入山教授は「人の心を動かせる」能力が重要であると訴えました。モチベーターやファシリテーターとしての役割が今後ますます重要視されることから、人間の強みである感情の重要性は変わりません。
出版記念トーク
講演の後、著書『いつも機嫌のいい人が考えていること』の出版記念トークも行われました。和田博信氏と総合法令出版の編集者の大北きょう氏は、出版に至るまでの舞台裏や、感情の重要性について深掘りしました。
このイベントは、AI時代の労働環境に対してどのように適応していくかを参加者に深く考えさせる機会となりました。入山教授の洞察を通じて、我々はより人間味あふれる働き方を模索する重要性を実感したのです。
今後もAIと共に進化する社会の中で、「人間らしさ」を大切にしながら自らの役割を見出すことが求められます。