ASTRA FOOD PLAN、約9億円の資金調達を実施
埼玉県に本社を構えるフードテックベンチャー、ASTRA FOOD PLAN株式会社(代表取締役社長:加納千裕)は、農林水産省の中小企業イノベーション創出推進事業に採択され、約9億円の資金を調達したことを発表しました。本プロジェクトは、「サステナブルな社会の実現」をテーマに掲げ、具体的には飲料業界での食品ロス削減に向けた活動を行います。
プロジェクトの背景と目的
近年、食品ロスが深刻な社会問題となっています。特に、飲料メーカーでは1日数十トンの飲料残渣が排出される中、これらを再利用することの難しさが課題となっていました。ASTRA FOOD PLANはこの状況を改善するため、廃棄されるりんご搾汁残渣を有効活用する実証実験を実施します。
本プロジェクトでは、国内のリーディング企業であるフィード・ワン株式会社、寿高原食品株式会社、ヴォークス・トレーディングと協力し、りんごの搾汁残渣を特許技術で処理し、エコフィード飼料や食品へのアップサイクルを目指します。
実証実験の詳細
この実証実験は2027年度までを予定しており、2024年度にはプラントの設計に着手、2025年度には過熱蒸煎機の量産型を開発する計画です。2026年度にはテストプラントにて「りんごパミスぐるりこ®」の生産を開始し、採算性を検証。最終的には販路を確立し、経済合理性の向上を目指します。これにより、廃棄物を減らし、値段の安い飼料と食品を同時に提供することができる仕組みを構築します。
廃棄物の発生とその解決策
国内の飲料工場では、茶殻やコーヒー粕などが大量に発生し、ほとんどが廃棄物として処分されています。しかし、ASTRA FOOD PLANの開発した過熱蒸煎機を使えば、風味や栄養をなるべく残したまま、食品に再利用することが可能になります。特にりんごの搾汁残渣は、品質の高い飼料として再生できる有望な素材です。
プロジェクトに関与する企業の役割
寿高原食品
創業105年の歴史を持ち、規格外のりんごを使用して新商品化に成功した寿高原食品は、実証実験を通じてりんご搾汁残渣の乾燥・製品化作業を行います。
フィード・ワン
この企業は、持ち味である飼料開発のノウハウを活かし、りんごパミスぐるりこ®を活用した飼料の開発に取り組みます。
ヴォークス・トレーディング
国内外の食品企業とのネットワークを最大限に活用し、商品のマーケティング調査や流通の構築を支援します。
社会的意義と今後の展望
ASTRA FOOD PLANは「かくれフードロス」の削減に注力し、持続可能なサプライチェーンを構築を目指しています。このプロジェクトが成功すれば、日本のフードロス問題に大きな影響を及ぼすことが期待されます。関係者は、この取り組みが新たな価値を創造し、より良い社会を築くきっかけになるとの認識を示しています。今後も技術開発と連携を深めながら、循環型のフードシステムの構築を進めていきます。
本記事が多くの企業のSDGsや食品ロス削減への取り組みの一助になれば幸いです。