佐渡汽船がノーコードDXクラウドを導入
背景と課題
佐渡汽船株式会社(以下、佐渡汽船)は、新潟県佐渡市に本社を構える海運業者で、佐渡島と本土を結ぶ重要な航路を運営しています。毎年約65万人の利用者がこの航路を利用しており、島民の生活に欠かせない存在です。現在、5隻の船(カーフェリー3隻、ジェットフォイル3隻、貨物船1隻)を運航しており、その運営には150名以上の船員が関わっています。
しかし、こうした大量の船員シフトを手作業で作成することは多大な時間と労力を要し、業務効率が課題となっていました。そこで、佐渡汽船はデジタルトランスフォーメーション(DX)による業務改善を急務として考えていました。
UMWELTの導入
名古屋大学発AIベンチャーの株式会社トライエッティングが提供するノーコードDXクラウド「UMWELT」の導入を決定したのはこうした背景からです。UMWELTは、組合せ最適化アルゴリズムを使用したシフト作成ツールであり、複雑なシフト条件にも対応できることが特徴です。トライエッティングとの共同実証実験を通じて、2024年5月からシフト作成の効率化に向けての取り組みを開始しました。
実証実験の成果
実証実験の結果、船員シフト特有の計算条件を組み込み、わずか10分で必要なシフトが生成される能力が確認されました。一方、従来の手法では10日以上かかっていたため、導入後の業務効率向上が目に見える形で実現したことが、導入の決め手となっています。さらに、シフト結果はExcel形式で出力されるため、現場への配布作業も格段に楽になりました。
柔軟性とサポート
佐渡汽船にとって、特に魅力的なのは、労働条件の変更に柔軟に対応できる点と、トライエッティングからの手厚いサポートです。シフト作成において条件変更が必要な場合、カスタマーサクセスチームが専門的なサポートを提供しており、システムのバージョンアップも可能です。このため、船員の希望をしっかりと反映させたシフト作成が実現できます。
船員の働きやすさと経済性
佐渡汽船の船舶運航部の担当部長、小林智氏は「UMWELTの導入で、シフト作成の省力化が期待されます。特に、複雑な条件を一度で出力できるようになったことは利点です」と述べています。また、正しい初期データを入力することで、年間を通した休日や要員配置のシミュレーションも行えるようになりました。
未来の展望
この成功を受けて、佐渡汽船はトラック運行を行っているグループ企業へのUMWELTの展開も視野に入れています。これにより、業務全体のデジタル化がさらに加速し、地域交通サービスの質向上にも寄与するでしょう。
まとめ
佐渡汽船の要件に特化したシフト作成ツール「UMWELT」は、効率化と柔軟性を両立した革新的な選択肢として業界に新しい風を吹き込んでいます。今後も地域の物流と交通の基盤を支え続ける佐渡汽船の取り組みに注目が集まります。