コスモ石油とDHLがSAF売買契約を結ぶ意味
2023年10月、コスモエネルギーグループの一員であるコスモ石油マーケティング株式会社と、国際的な物流企業DHL Expressが持続可能な航空燃料であるSAF(Sustainable Aviation Fuel)の売買契約を締結しました。この契約は、航空輸送における脱炭素化を進めるための重要な一歩です。この取り組みにより、両社は環境への配慮をさらに強化し、持続可能な社会の実現を目指します。
SAFの意義と背景
SAFは、従来の化石燃料に代わる持続可能な航空燃料であり、航空機の温室効果ガス排出量を大幅に削減することができます。今回の契約の背景には、2021年にNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)によって推進された「国産廃食用油を原料とするSAF製造サプライチェーンモデル」があります。このプロジェクトによって、国内で初めて大規模にSAFが生産されることが見込まれています。
さらに、このSAFの製造は、コスモ石油、日揮ホールディングス株式会社、株式会社レボインターナショナルの3社によって設立された合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYが担います。2025年度からは、コスモエネルギーグループを通じてDHLに供給されることが決まっており、日本市場におけるSAFの利用が拡大することが期待されています。
企業の責任と社会の未来への貢献
コスモエネルギーグループは、2050年までにカーボンネットゼロを達成する目標を掲げています。この目標に向けた取り組みで、国産SAFの普及を促進するために、サプライチェーンの構築に力を入れています。また、廃食用油の市民回収実証をサービスステーションで継続的に行い、地域社会の環境意識を高める活動にも注力しています。このように、SAFに対する関心を社会全体で高めることが、持続可能な未来を形作るために不可欠です。
企業のビジョン
コスモ石油マーケティングの代表取締役社長、森山幸二氏は、「SAFは当社が展開する脱炭素商材の一部であり、航空機の脱炭素に寄与する重要な商品です」と述べています。DHLジャパン株式会社の代表取締役社長トニー・カーン氏も「日本初となる定期貨物便での国産SAFの利用を開始できることが嬉しい」とし、SAFが航空輸送における温室効果ガス排出量を削減する重要な手段であると強調しています。
今後の展望
この契約は、環境負荷を軽減するための重要なマイルストーンですが、今後の取り組みがさらなる成果を生む期待も高まります。コスモエネルギーグループとDHL Expressが今後も協力し、持続可能な航空輸送と脱炭素社会の実現を目指していくことは、業界全体にとって大きな刺激となるでしょう。両社の取り組みが、持続可能な社会への道を切り開くことが期待されています。