物流業界の未来を切り拓く三菱重工とキリンビバレッジの共同実証
三菱重工業とキリンビバレッジ、キリングループロジスティクスが手を組み、2024年8月よりトラックの荷積み・荷降ろしを自動化する共同実証を開始します。これは、三菱重工が開発した「ΣSynX」を活用した取り組みであり、トラック荷役作業の効率化を目指しています。
共同実証の背景
物流業界は、特に「2024年問題」と呼ばれる労働環境の変化に直面しています。トラックドライバーの労働時間管理が厳格化されることで、運転業務の時間外労働が制限され、結果として物流が停滞する危険性があるのです。これにより、倉庫での荷待ち時間や物流オペレーター不足が問題視されています。従来のロジスティクスプロセスは、人力による作業が中心であり、効率化が求められています。
実証プロジェクトの内容
この実証は、三菱重工が展開する「Yokohama Hardtech Hub」内の「LogiQ X Lab」を中心に行われ、2026年3月までの一定期間にわたり、入出庫作業やトラック荷役作業の自動化に取り組みます。
1.
入出庫プロセスの洗い出し
共同実証の初期段階では、有人作業を含めた運用プロセスを明確にし、無人フォークリフトの活用方法を模索します。
2.
無人フォークリフトの導入
自動運転の無人フォークリフトを用いて、トラックへの荷積み・荷降ろし作業がどのように自動化できるかを検証します。これにより、オペレーターが直接関与しない新たなプロセスを提案することが目指されています。
3.
安全面の考慮
有人及び無人フォークリフトが共に作業を行う際の安全基準や運用ルールも整備される予定です。
物流環境への影響
この取り組みが成功すれば、荷役作業の効率が向上し、労働時間の短縮、待機時間の減少が期待できます。特に、キリンビバレッジの倉庫では人力による作業が多く、オペレーターの熟練技術が重要視されていましたが、無人化することにより安全性と効率性が一層高まるでしょう。
また、2022年から行われた自動ピッキングに関する共同実証の成果も活かされ、今後は「ピッキング」「入出庫」「トラック荷積み」の領域で自律化・知能化が進むことになりそうです。
最後に
三菱重工とキリンビバレッジのパートナーシップは、物流業界のさらなる発展に寄与するだけでなく、心豊かな社会を実現するための一歩でもあります。両社は今後も、飲料業界が抱えるさまざまな課題に立ち向かい、持続可能な物流システムの構築を目指していくでしょう。