日本精工株式会社(NSK)が新たに開発した低フリクションボールねじ「MT-Frix™」は、工作機械の性能向上と環境保護を両立させる革新的な製品です。
この製品の開発に至った背景には、近年の機械加工技術の進化と、脱炭素社会を目指す動きが強く関係しています。特に工作機械においては、位置決め精度の向上と省エネルギー化が求められています。これらのニーズに応えるため、低フリクションの特性を持つボールねじが必要とされていたのです。
技術の進化
NSKは、独自の解析技術を活かすことで、ボールねじ内部におけるボールと溝の接触状態を詳細に理解し、最適な内部仕様を設計しました。このことにより、ボールねじの寸法を変えることなく、剛性を保ちながら動摩擦トルクを低減させることが可能になりました。動摩擦トルクの低減は発熱を抑えることに繋がり、これが工作機械の精度向上とエネルギー効率の改善に寄与します。
環境への配慮
「MT-Frix™」の最大の特徴は、動摩擦トルクを従来と比べて最大50%も削減できることで、その結果、CO₂排出量も同様に減少します。この取り組みは、持続可能な発展を目指す現代社会において非常に重要な要素です。機械の発熱も最大40%減少し、動作の安定性を保持しながらエネルギー消費を抑えることができるため、環境負担の軽減に直接貢献しています。
今後の展開
「MT-Frix™」は、2024年11月に開催される「JIMTOF2024 第32回日本国際工作機械見本市」に出展予定です。そこで多くの業界関係者に新技術を紹介し、2025年4月からの受注を目指しています。NSKはこの新製品により、2027年に向けて5億円の売上を目指しています。
会社のビジョン
NSKは、1916年に日本で初めて軸受を生産して以来、100年以上にわたって技術革新を追求し続けてきました。グローバルに展開する中で、会社の理念である「MOTION & CONTROL™」を通じて、より安全で円滑な社会に貢献することを目指しています。2026年に向けて掲げられた「新しい動きをつくる」というビジョンの下、NSKは市場の期待に応え、持続可能な未来のために努力を重ねていく所存です。
このようにして、日本精工は低フリクションボールねじ«MT-Frix™»によって、工作機械業界に新たな風を吹き込むとともに、環境保護の重要性を訴えていくことでしょう。