インパクト投資の新たな展望を模索するワークショップ
2025年3月、東京を中心に展開される「インパクト測定・マネジメント(IMM)とインパクト指標」をテーマにしたワークショップが行われました。このワークショップは、社会変革推進財団が事務局を務めるGSG Impact JAPANが主催し、インパクト投資市場の拡大と企業の持続的成長を目指す重要な取り組みの一環です。
インパクト投資市場の現状
近年、日本国内でのインパクト投資の市場規模は17兆円を超えるとされ、企業による社会的価値の創出に対する関心が高まっています。一方で、投資家が求める具体的な実績や指標を持ち合わせていないインパクト企業が多いのも事実です。特に、上場企業に成長する過程で直面する課題は多岐にわたります。これに対応するため、GSG Impact JAPANでは、2023年7月にインパクトIPOワーキンググループ会合を立ち上げ、具体的なガイダンスを策定することを目指しています。
ワークショップの目的と内容
今回のワークショップの目的は、インパクト企業が投資家や専門家と具体的な対話を交わすことで、上場を目指す際のリアルな課題を明らかにすることでした。参加企業として、未上場の株式会社TBM、株式会社リハス、Ubie株式会社の3社と、上場企業である株式会社ユカリアが選ばれました。また、海外からはベイリーギフォード社とトリオドス・インベストメント・マネジメント社の2名の投資家も招かれ、国内外の視点が融合した内容となりました。
参加者の反応と学び
ワークショップは2日のプログラムで構成され、Day1では各企業と投資家たちとの個別の対話が行われました。参加者が得た気付きの中には、以下のようなポイントがありました。
ビジネスモデルとインパクト
企業の成長戦略とその成果としてのインパクトには深い関係があることが話し合われました。特に、受益者や顧客の特性に基づいたインパクト創出の重要性が強調され、海外投資家には日本独自の文脈を理解してもらう必要性が指摘されました。
一貫したインパクト測定の重要性
企業の理念と整合性の取れたインパクト測定・マネジメントの必要性が認識されましたが、その実施にはさまざまな課題が残ることも共有されました。このため、投資家との間で透明性のある情報開示が求められるとされました。
インパクト指標の設定の課題
インパクトKPIと財務KPIとの関連性についての説明が求められ、特に個人や環境などの最終受益者に関する成果指標の設定の重要性が強調されました。
リスク管理の重要性
ネガティブなインパクトの評価および管理において、自社の理念に基づいて重要なリスクを特定し、報告することに焦点を当てることができるという意見が出されました。
上場を目指すインパクト企業の準備
これから上場を予定するインパクト企業は、早期に長期的な視野で投資家との対話を重ねることが求められています。
結論と今後の展望
本ワークショップを通じて得られた情報や意見は、GSG Impact JAPANのウェブサイトで開示される予定です。また、インパクト投資の未来を不可欠なものとして捉える良い機会となりました。今後も、このような対話の場が設けられ、より具体的な成果とともに進化していくことを期待しています。
詳細な情報は
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