太陽光発電建設現場での熱中症対策に新技術導入
近年、太陽光発電の導入が進む中、建設現場での作業環境の安全がますます重要視されています。特に、2026年からは熱中症対策が事業者の義務となるため、企業は迅速かつ効果的な対策を求められています。これに応える形で、長野県に本社を置く株式会社グッドライフとカナルウォーター株式会社が連携し、熱中症対策の実証実験を行うことが発表されました。
新たな連携
グッドライフは長野県岡谷市に本社を構え、これまでに720件の太陽光発電所を建設してきました。一方、カナルウォーターは、諏訪東京理科大学から生まれたベンチャー企業で、最新のヘルメット装着型発汗計測機器を用いた熱中症リスクの管理サービスを提供しています。今回の連携では、この特許技術を活かし、実証実験を通じて新たな熱中症対策の手法を模索します。
熱中症対策の義務化
熱中症によるリスクは、特に屋外作業が多い職場で大きな課題です。2026年6月1日から、事業者には熱中症対策が義務付けられるため、企業は早急に対策を講じる必要があります。この義務化により、作業現場で熱中症の初期症状が現れた際の対応として、適切な連絡、作業の中断、身体の冷却、医師の診察手配など、具体的な手順を取り決める必要があります。
特許技術の実証実験
カナルウォーターが開発するヘルメット型発汗計測機器は、体温や脈拍をリアルタイムで測定し、熱中症のリスクを迅速に検知できます。この技術は特に、暑さ指数28以上や気温31度以上の条件下での作業環境において、その効果を発揮します。2024年度には市村清財団の助成金を受け、これまで以上の小型化と性能向上を図った機器が投入される予定です。
太陽光発電の普及と対策
グッドライフの取り組みは、地域の脱炭素化の進展と並行して、さらなる太陽光発電所の建設を促進しています。現在、企業や自治体はPPA(パワー・パーチェス・アグリーメント)などの「第三者所有モデル」を採用し、太陽光発電の導入を加速させています。その際には、熱中症リスクを考慮し、作業環境に応じた適切な対策が重要です。
地域支援ファンドの役割
グッドライフとカナルウォーターの連携は、諏訪信用金庫が設立した「SUWASHIN地域応援ファンド」の投資先の一環でもあります。このファンドは諏訪地域の創業率向上や経済活性化を目指し、2019年に設立されました。2022年にはカナルウォーター、そして2024年にはグッドライフへの投資が実施されました。
実証実験の詳細
この実証実験は2025年8月4日から8月8日までの間、長野県佐久市内にて行われます。参加者には両社の代表者や太陽光発電所建設現場の作業員も含まれ、リアルなデータを基に熱中症リスクの評価や対策が検討されます。また、実験を通じて得られたデータを分析し、作業者ごとの具体的な水分補給のタイミングや量を示す提案も行う予定です。
この連携による実証実験が今後の熱中症対策にどのような影響をもたらすのか、注目が集まります。