建設現場のデジタルツインプラットフォームの革新
建設業界は、少子高齢化による人材不足といった大きな課題に直面しています。こうした現状を打破するため、安藤ハザマと株式会社WorldLink&Companyは協力し、建設現場でのデジタルツインを実現する新たなプラットフォームを開発しました。このプラットフォームは、単なる3次元可視化ツールに留まらず、施工管理業務を支援する強力なツールとしての役割を果たします。
デジタルツインプラットフォームの開発背景
安藤ハザマは、自社の「DXビジョン2030」に基づき、先進技術を使った新しい働き方を推進しています。その一環として、建設現場にデジタルツイン技術を導入し、データに基づく施行状況の把握・分析を行うことで、施工管理の効率化を図る必要があると考えました。このプラットフォームの導入によって、現場の状況をリアルタイムで追跡し、計画の進捗を視覚的に把握することが可能になります。
プラットフォームの特長と導入効果
本プラットフォームでは、点群データを基に仮想空間を構築することで、現場の変化を三次元的に捉え、進捗状況を精確に把握します。これにより、施工管理がより効率的且つ効果的に行えるようになります。さらに、実際に施工中の大規模造成工事で運用を開始し、以下のような効果が確認されました:
1.
進捗管理の省力化
現場で蓄積された点群データから、自動で土量の変化を算出します。これにより、施工実績の管理が行いやすくなり、今後の進捗を予測することで、工程の遅延が見込まれる場合は直ちに対応を促すことが可能です。現場の人員は、土工事の数量管理を短時間で行えるようになり、施工検討や安全管理にフォーカスできるようになります。
2.
現場確認・作業打合せの効率化
現場所長が仮想空間に再現された現場を遠隔から確認することで、現地への移動時間を80%削減することができました。また、最新の現場情報をもとに、現地スタッフとの打合せをスムーズに進められるようになり、事故や手戻りのリスクを低減できます。
3.
データ取得の自動化
自動運用型ドローンやスマートフォンを活用した自動データ取得システムにより、現場の地形データをリアルタイムで更新し、業務負荷の軽減を実現しました。データの生成から可視化までが自動化され、従来よりも大幅に業務効率が向上しました。
今後の展開
国土交通省が推進するi-Construction2.0に基づき、このデジタルツインプラットフォームの活用範囲を拡大していく計画です。今後はトンネル工事などの他工種への適用も目指し、建設現場におけるデジタル技術の導入を進め、より広範な活用が期待されています。
この新たなプラットフォームにより、建設業界が抱える問題解決に向けた大きな一歩となることが期待されています。未来の建設現場は、デジタル技術によってさらに効率化されていくことでしょう。