言わなきゃよかったキャンペーンの結果
子育てという旅の中で、親は時に辛く、時に喜びを感じながら子どもと向き合っている。しかし、そうした日常の中で、思わず口にしてしまった言葉に後悔する瞬間があるのも事実だ。小学館が本年7月から8月にかけて開催した「#言わなきゃよかった キャンペーン」では、子どもに言わなきゃよかったと思う言葉を親たちから募集し、その集計結果をランキング形式で発表した。
このキャンペーンでは、親たちがどのような言葉に対して後悔の念を抱いているのかを探るため、過去1200件を超える投稿が寄せられた。その結果には、親自身が感じる焦りや期待が反映されており、子どもとのコミュニケーションの難しさが見えてくる。
ランキングの詳細
1位:早く〇〇して(93票)
最も多かったのは「早くしなさい」という言葉で、忙しい日常の中でつい口に出てしまうことが多いようだ。「やることが山積みの時、どうしても言ってしまう」「朝の支度の時に言わないように心がけたい」といった声が寄せられた。子どもにとっては、自分のペースで進みたいところを無理に急かされるのは、時にストレスとなる場合がある。
2位:なんでできないの?(80票)
次に多かったのが「なんでできないの?」という言葉。特に学習でつまずいた時に出てしまうことが多く、「子どもには能力の差がある」との反省のコメントもあがった。子どもができないことを指摘することが、親自身の不安や焦りを反映していることにも気づかされる。
3位:他人との比較(48票)
「○○君はできているのに」といった、友人や姉妹・兄弟との比較も多く寄せられた。このような言葉は、子どもにとって精神的なプレッシャーとなり、結果的に自身の能力を低く見積もってしまうことに繋がりかねない。
4位:後にして・ちょっと待って(45票)
「今すぐ対応すべきなのに、つい言ってしまって後悔する」といった声が多かった。この言葉は、親の都合を優先してしまった結果、子どもとの大切なコミュニケーションを逃してしまう可能性がある。
5位:バカ・アホ(36票)
怒りの感情からつい使ってしまった言葉も多く、後悔の声が相次いだ。「こういった言葉はもっと穏やかな言い方に変えるべきだった」との反省が多く、感情に任せた言動が親子関係に与える影響を示している。
SEL教育の重要性
今回の調査結果を受けて、SEL(Social Emotional Learning)教育の重要性が再認識される。SELは、自己と他者の感情を理解し、良好な人間関係を築くためのスキルを高める学びの方法である。著者の下向依梨さんは、このアプローチを通じて、子どもだけでなく親自身も感情を理解し、適切に表現する能力を養うことができると語っている。
「感情に気づくことが、親子関係をより良くする第一歩です。親も子もお互いを一人の人間として尊重し合う関係を築くために、SELを実践することが欠かせません」。
このような教育が浸透すれば、無意識のうちに発せられがちな後悔の言葉も減っていくのではないだろうか。親と子のより良いコミュニケーションを目指すために、SEL教育の導入は今後ますます重要な課題と言えるだろう。
まとめ
親たちが悩む「言わなきゃよかった」言葉は、子育てにおけるコミュニケーションの難しさを反映している。しかし、SEL教育を実践することで、親子間の感情への理解が深まり、より良い関係を築くことができる。今回のキャンペーンを通じて、子育てにおける言葉の使い方について考える機会になればと思う。