株式会社電通が実施した第14回「カーボンニュートラルに関する生活者調査」の結果が発表されました。この調査は、全国の15歳から79歳までの5万人を対象に、2024年5月31日から6月3日まで実施されました。調査の目的は、国民のカーボンニュートラルに関する認知や意識を把握することです。
近年、地球温暖化が深刻な問題となっており、2023年には工業化以前と比べて地球の年間平均気温が約1.5℃上昇したことが確認されました。この厳しい現状を鑑み、パリ協定では気温上昇を1.5℃以内に抑える努力が求められています。しかし、調査結果からはこの温暖化問題について認識している人が6割を超える一方、具体的な数値を把握している人は約1割にとどまっていることがわかりました。
具体的には、2023年の温暖化に関する設問に対し、知識を持っていると答えた人は62.1%でしたが、数値を具体的に把握している人は10.6%に過ぎません。この結果は、温暖化の深刻さに対する意識の乏しさを示唆しています。また、回答者の自由回答を分析したところ、「地球が住めない環境になる」と危機感を表明した人が最も多く見られ、それに続いて政府や企業への取り組み要求が寄せられています。
調査の中で、15種類のカーボンニュートラルアクションに対して具体的な行動を取った人も多数いました。「ゴミの削減・分別」を実施した人は79.2%、続いて「食事を食べ残さない」ことが76.7%という結果でした。これらのデータは、国民の環境への取り組み姿勢が確実に向上していることを示していますが、依然として全体的な意識向上が求められます。
加えて、カーボンニュートラルアクションを実施した理由には、「経済的にメリットがあると感じたから」という意見が大多数を占めています。このことは、環境問題への取り組みを強化するためには、経済的なインセンティブが重要であることを示唆しています。例えば、ゴミの減少や分別を行った理由の一つに「地域に貢献したい」という意識も見受けられました。
また、調査結果に基づく分析から、特定の年齢層が温暖化問題に対して高い意識を持っていることも確認されています。特に70代の受けている関心が高く、これは世代による認知度の違いとして興味深い視点です。
調査結果を踏まえ、電通は今後もカーボンニュートラルの取り組みを広めるための施策を検討していきます。日本全体がこの問題に対してどう取り組むかが、今後の環境の持続可能性に大きく影響するでしょう。
日本社会全体の意識が変わることが期待される中、引き続き環境問題に関する調査や情報発信を行っていく方針です。これまでの調査結果も参考にしながら、企業と生活者が連携し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを進めていくことが重要です。