環境に優しい資源作物エリアンサスのpossibility
シンポジウムの意義と目的
2020年9月17日に、エリアンサスを活用したカーボンマイナスの推進に関するシンポジウムが開催されました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けつつも、持続可能な社会に向けた取り組みが話し合われました。
エリアンサスの特性とその利点
エリアンサスは中東からインドが原産の多年生のイネ科作物であり、食料生産が難しい土地でも育成が可能です。これにより、不良環境でも安定的にバイオマス資源を供給できることから、CO2削減を低コストで実現する有望な候補として注目を集めています。
基調講演の内容
シンポジウムの冒頭には、サトウキビコンサルタントの杉本明博士が基調講演を行いました。彼は「水の世紀」「農の世紀」などの視点から、地域資源を生かしたエリアンサスの研究開発について説明しました。さらに、エリアンサスを用いた新たな農業技術の可能性についても触れました。
ライフサイクル思考の重要性
東京大学の菊池康紀准教授は、地域資源をライフサイクル思考で活用する重要性について強調しました。地域の植物資源を利用することで、化石資源の消費を削減し、脱炭素化に貢献する仕組みを作ることが必要です。地域の持続可能性を高めるために、科学と地域社会が連携する重要性が説かれました。
バイオマスCCSの可能性
地球環境研究センターの山形与志樹博士は「バイオマスCCSの可能性と限界」というタイトルで、BECCS(バイオエネルギーとCCSの組み合わせ)の課題について説明しました。土地や水の競合が発生する可能性があり、これらの問題に対処する必要があります。
トークセッションの結果
トークセッションでは、茨城県神栖市と福島県大熊町におけるエリアンサス活用の状況が報告されました。神栖市では、エリアンサスの栽培が進められており、温室暖房の熱源などに利用されています。一方で、大熊町ではバイオガス事業が検討されていますが、制度的な課題が壁となっています。
未来への展望
今回のシンポジウムを通じて、エリアンサスの持つ高い可能性と課題が明らかになりました。低コストでCO2排出を削減するエリアンサスの可能性を広げ、持続可能な地域社会の実現に向けて様々な取り組みが続けられることを期待します。
映像配信のお知らせ
シンポジウムの様子は、オンラインで無料配信されています。詳しくはアグリデザイン研究所のウェブサイトをご参照ください。
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アグリデザイン研究所について
一般社団法人アグリデザイン研究所は、地域資源を活用した新たな農業の形をデザインすることを目指しています。持続可能な地域づくりを実現するため、今後もエリアンサスを中心に情報発信を続けていきます。