東京大学と富士通が手を組む新たな電力システム実証実験
2026年1月5日より、東京大学と富士通が共同で行う実証実験が始まります。この取り組みは、増大するAI需要に対応するため、データセンター間での計算処理の負荷を効率的にシフトする技術を検証するものです。特に注目すべきは、この実証実験が国内初の試みであることです。
背景と目的
近年、AIに対する需要の高まりと共に、データセンターでの電力消費が急増しています。従来のデータセンターは都市部に集中しているため、特に大規模災害時や電力需給のバランスが崩れる状況下では、リスクが大きくなります。さらに、再生可能エネルギーの導入や、エネルギー安全保障の観点からも持続可能な電力供給の最適化が求められています。
そのため、東京大学と富士通は、再生可能エネルギーを活用しながら、電力需給バランスをとるための新しい手法を開発することを目指しています。今後の実証実験では、柏キャンパスの情報基盤センターと、富士通のデータセンターを接続し、リアルタイムの電力系統状況に基づいたワークロードシフトを実施します。
実証実験の詳細
1. 実施期間
実証実験は2026年1月5日から3月31日まで実施されます。
2. 実験内容
この実験では、東京大学の情報基盤センターと富士通が提供する「Fujitsu クラウドサービス powered by Oracle Alloy」を連携させ、実際の計算処理を様々なロケーションでシフトできるかどうかを検証します。さらに、電力会社と連携し、電力系統状況や市場価格に連動して地域間でのワークロードシフトがどのように機能するのかを評価します。
3. 各社の役割
東京大学は、スーパーコンピュータシステムとAI研究のユースケースを提供し、富士通はコンテナ技術を使ったワークロードシフトの管理やクラウドサービスの提供を担います。これにより、より効率的なデータ処理環境を整える狙いです。
今後の展望
両者は、実証実験を通じて得たデータを元に、さらなる技術開発を行います。また、国や関連団体、企業との連携を強化し、持続可能なインフラ基盤の構築に貢献していく方針です。
持続可能な未来に向けて
最終的には、再生可能エネルギーを最大限に活用し、カーボンニュートラルを実現するための基盤を築くことが目標です。東京大学はこれまでも再生可能エネルギーの導入や電力消費の最適化に取り組んできましたが、新たな技術の開発により、より一層の進展が期待されます。
富士通も、このプロジェクトを通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。今後、この実証実験がどのように展開されていくのか、注目が集まります。