新幹線に導入されるドライバレス運転
JR東日本は、自社のグループ経営ビジョン「変革2027」の一環として、新幹線にドライバレス運転を導入することを発表しました。この取り組みは、人口減少や働き方改革など社会環境の変化に対応したもので、効率的かつサステナブルな鉄道経営の実現を目指しています。
ドライバレス運転とは?
ドライバレス運転とは、自動運転車両が運転士なしで運行されるシステムを指します。安全性や輸送の安定性を向上させると同時に、効率的な運転によって省エネルギー効果をもたらすことが期待されています。また、この運転形態を導入することで、需要に応じた柔軟な列車運行が可能となり、乗務員はより多様な業務に専念できるようになります。
導入計画の具体的な内容
新幹線でのドライバレス運転は、世界初の試みとなる上越新幹線において実施され、その後、北陸新幹線や東北新幹線に順次展開される見込みです。具体的な導入計画は以下の通りです:
- - 2028年度:長岡駅から新潟新幹線車両センター間(約60.8km)で営業列車と回送列車の自動運転(GOA2)を実施予定。
- - 2029年度:新潟駅と新潟新幹線車両センター間(約5.1km)の回送列車においてドライバレス運転(GOA4)を導入。
- - 2030年代中頃:東京駅と長岡駅の間に自動運転(GOA2)を導入し、さらに東京駅と新潟駅の営業列車でのドライバレス運転(GOA3)を計画。
この導入を見越して、JR東日本は現在、地上設備や車両の改造工事に着手しています。
技術開発の取り組み
ドライバレス運転を実現するために、JR東日本は様々な技術開発に取り組んでいます。現在進められている研究開発の一環として、以下のような機能が設定されています:
1.
最適運転パターンの開発:自動でダイヤ通りに列車を運行させる装置や、加速・減速、定位置停車、臨時停車などに対応する技術を開発しています。2019年度からは、E956形式の新幹線電車(ALFA-X)で走行試験を行っており、2028年度を目指して本装置の使用開始を計画しています。
2.
異常振動検知機能の開発:安全性を更に向上させるために、走行中の異常な振動をモニタリングし、異常を検知した際には自動で緊急停止させる機能を開発しています。この機能は2029年度のドライバレス運転導入に向けて実用化を目指しています。
未来への展望
JR東日本は、ドライバレス運転の技術を深化させ、未来の鉄道運行の在り方を変革していく考えです。この制度が普及すれば、鉄道利用者にとっても利便性が向上し、さらには環境負荷の低減にも貢献することが期待されます。この新たなチャレンジがもたらす未来に、多くの人々が期待を寄せています。