メカノクロスとナード研究所が協業へ
北海道札幌市に本社を置く株式会社メカノクロスは、兵庫県尼崎市の株式会社ナード研究所との間で、メカノケミカル有機合成技術の共同利用および事業展開に向けた検討を始めました。この協業は、両社が持つ技術的な強みを駆使し、環境に優しい化学プロセスの実現を目指すものです。
メカノケミカル有機合成とは
メカノケミカル有機合成は、従来の有機合成技術に代わる新しい手法で、極めて少量の有機溶媒を使用して反応を進めることができる革新的な技術です。過去の方法では、化学反応の際に大量の溶媒を必要とし、廃棄処理や環境への負荷が問題視されていましたが、この技術により、環境負荷の低減が期待されています。
協業の目的と展望
具体的には、ナード研究所が行う受託合成事業にメカノケミカル技術を適用し、環境に配慮した効率的な合成プロセスを構築することが目指されています。特に、出発原料や中間体が不溶性・難溶性で、従来法では反応が難しかったテーマに焦点を当て、商業プロセスの開発を進める計画です。
両社は、医薬品や有機EL材料、電池材料など、さまざまな分野で実績があり、そのシナジー効果を期待しています。特にナード研究所では、新しい合成手法の導入に積極的であり、フロー合成やマイクロ波合成といった手法ともシナジーを持ち、メカノケミカル有機合成の導入が大いに期待されています。
プロセス開発と装置導入
メカノクロスは、すでに日揮株式会社と共同で開発中のメカノケミカル有機合成向けの商用反応装置を、ナード研究所の受託合成施設に導入する検討に入っています。これによって、原料投入から精製までの一貫したプロセスを実現し、商用化に向けた具体的なステップを踏むことになります。
メカノクロスの代表取締役CEOである齋藤智久氏は、「この技術は、環境に優しいだけでなく、新規材料の開発にも貢献できる可能性がある」と話し、両社の協業によってメカノケミカル有機合成の社会実装を加速させる意向を示しています。一方、ナード研究所の土肥幸生社長も「持続可能な化学プロセスの実現に向けて、メカノクロスとの協業は新たな価値を生むだろう」と期待を寄せています。
未来への取り組み
今後は、ラボスケールでのプロセス開発を進め、量産体制の構築を果たす予定であり、これによって量産機能を持たない顧客に対しても製造機能を提供できるようにすることが狙いです。この取り組みにより、メカノけみか有機合成技術がより広く浸透し、環境に優しい新材料の創出が加速されることでしょう。
協業は環境意識の高まりとともに、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となることが期待されています。今後、両社の動向に注目が集まります。