表情解析でうつ病リスクを早期発見
近年、メンタルヘルスへの関心が高まる中、早稲田大学の研究チームが発表した成果は注目を集めています。
杉森絵里子准教授が率いるこの研究グループは、AI技術を用いて、うつ病予備群における表情の変化を解析しました。その結果、抑うつ傾向を持つ若年層の表情には、特有の変化が見られることが明らかになったのです。
画期的な発見
この研究では、64名の日本人大学生を対象に、自己紹介動画を分析。その結果、抑うつ状態の大学生の表情は「豊かさ」「自然さ」「親しみやすさ」が低く評価される傾向が見られることが判明しました。具体的には、AI表情解析ツール
OpenFace 2.0が、抑うつ傾向が強いほど表情筋の動き、特に眉や口元の動きが明確に変化することを示しました。
AIによる客観評価
主観評価とAI解析の組み合わせにより、医療機関に行っていない人々でも、抑うつ傾向を視覚的に、かつ客観的に把握することが可能となっています。この手法は、うつ病の早期発見とともに、精神疾患の予防や介入をより効果的に行う手段として期待されています。
研究の意義と今後の展望
これらの研究成果は、2025年8月22日に専門誌
Scientific Reportsに掲載されました。精神疾患の早期発見や予防に貢献するツールとして、学生や働く人々のメンタルヘルス支援に役立つ可能性があります。特に、日常的に自己撮影した動画を用いることで、非侵襲的かつ簡易に心の状態を可視化できる方法の確立が期待されます。
今後の課題
ただし、本研究は日本の大学生に限られており、他の文化や年齢層への応用についてはさらなる研究が必要です。また、BDI-IIによる自己申告のみを基にした評価には臨床的な評価を追加する課題が残されています。
研究者の意図
杉森准教授は、「わずかな表情の変化が心の状態を映す鏡になる」という発見が、うつの早期発見とその支援につながることを強く願っているとのことです。この研究が、未来のメンタルヘルス支援の新たな道を拓くことを期待しています。
まとめ
この画期的な研究によって、表情解析がメンタルヘルスにおいて重要な役割を果たすことが明らかになりました。今後、この技術が広く普及し、より多くの人々のメンタルヘルスの改善につながることが期待されています。