特殊詐欺防止のための移動スーパーの取り組みとその意義
移動スーパー「とくし丸」は、警視庁の協力を受けて、東京都内で高齢者を対象に特殊詐欺被害防止の啓発活動を行います。2025年11月17日から23日までの期間、昨年に引き続き実施されるこのキャンペーンは、高齢者の防犯意識を高める重要な取り組みです。
移動スーパーとくし丸は、全国に約1,200台の冷蔵機能付き軽車両を展開し、約18万人のお客さまに商品を提供しています。特に80歳前後の女性を主要な顧客層として、週に2回の訪問で顔を合わせながらサービスを提供しているため、単なる売上の追求ではなく、地域に根差した見守り活動を行っています。
特殊詐欺の深刻な現状
最近、特殊詐欺は大きな社会問題となりつつあります。2024年の全国の特殊詐欺の認知件数は21,043件、被害額は約718.8億円にのぼります。この増加は特に都市部で顕著で、東京都の認知件数は3,494件、全国の約17%を占めています。また、高齢者(65歳以上)が被害者の78.3%を占めるという実態もあります。高齢者層を狙った詐欺が多発している中、この啓発活動は極めて重要です。
「見守り活動」とは
とくし丸は、地域の福祉ネットワークと連携し、見守り協定を結んで情報提供を行っていますが、その中で特殊詐欺被害を未然に防ぐ実績もあることから、信用も厚いとされています。警視庁は、この独自の見守り活動に着目し、移動スーパーを利用する高齢者に対し特別な啓発キャンペーンが必要だと判断しました。
昨年度には、43台のとくし丸が約6,450人の買い物困難者に対して、防犯チラシの配布や防犯意識のヒアリングを行い、特に「防犯意識を高めるきっかけとなった」という声を多く寄せられました。これは、一見ビジネスと見られる活動の中に、地域貢献という側面がしっかりと根付いていることを示しています。
営業活動と防犯の両立
今回の啓発活動では、「ながら見守り活動実施中」のポスターマグネットを販売車両に貼付し、目に見える形で防犯意識を高める工夫もされています。販売員はお客さまに特殊詐欺の手口や自宅の防犯対策に関するチラシを配布し、具体的な情報を提供します。また、ヒアリング調査を通じて、お客さまからの直接の声を集め、警視庁に報告するという双方向性も大切にされています。これにより、地域のニーズを反映した対策が取られています。
まとめ
この特殊詐欺防止の取り組みは、ただのキャンペーンにとどまるものではなく、地域社会の一員としての役割を果たす「とくし丸」の姿勢が表れています。「買い物難民」と言われる高齢者層への細やかな配慮が、地域全体の安全へとつながるのです。この活動が今後も発展し、より多くの地域で取り入れられることを期待します。