久留米工業大学名誉教授が北京で国際会議に参加
福岡県久留米市にある久留米工業大学の巨海玄道名誉教授が、2025年相乗極限状態利用施設研究会(SECUF-2025)に招かれ、中国北京で講演を行いました。この会議は、中国科学院物理研究所によって主催され、世界中から多くの学者が集まりました。
講演のテーマと研究内容
巨海教授が発表した講演のテーマは「f及びd電子を含む凝縮系物質の高圧下における興味ある現象」というものでした。この研究は、久留米工業大学の自然科学一般を専門とする江藤徹二郎教授との共同研究に基づいています。発表では、高圧、低温、強磁場といった極限環境下での物質の挙動に関する興味深い現象が紹介されました。
具体的には、ナノ構造のFe/Cr多層膜が見せる巨大磁気抵抗(GMR)の圧力による増強や、希土類六ホウ化物(RB6)の異常な圧縮特性が取り上げられました。これらの研究成果は、将来的に高感度の磁気センサやスピントロニクス材料としての応用が期待されています。
中国科学院物理研究所の見学
講演の合間には、中国科学院物理研究所(IOP)を訪れる機会も得た巨海名誉教授。最新の測定機器が整った新しいビルに、熱心に実験に取り組む若者たちの姿が印象的だったと語る教授は、日本の東大物性研究所と比較しながら、その充実した環境に感銘を受けたとのこと。特に、人材育成が進んでいる様子が、科学技術界への期待感を抱かせました。
中国の学会と研究環境
会議の参加者は、ほとんどが若手研究者であり、それぞれ自信に満ちた発表を行っていました。巨海教授は、その頃の記憶を振り返り、20年以上前に北京を訪れた際には、当地の研究者たちが心細そうにしていたことを思い出すと述べました。現在の中国の基礎科学政策が実を結んでいることを強く感じたと語ります。この変化は、約30年近くにわたる努力の結果と評価され、近年科学技術予算が削減されている日本や米国とは対照的な状況にあり、中国の国力を再認識させられる瞬間でした。
結論
今回の講演や研究発表は、国際的な科学コミュニティにおける久留米工業大学の存在感を示す重要な機会となりました。巨海名誉教授のように、国内外で活躍する研究者によって、さらなる科学技術の発展が期待されます。また、このような国際的な交流を通じて、未来の技術革新が進んでいくことに期待が寄せられることでしょう。