SDGsに関する意識調査の結果が示す現状
近年、持続可能な開発目標(SDGs)が注目されていますが、実際のところ日本におけるその受け入れ方はどうなっているのでしょうか。株式会社クロス・マーケティングは、全国の18歳から69歳の男女3,000名を対象にした「SDGsに関する調査」を2025年6月に実施しました。今回の調査は、SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)が公表した「Sustainable Development Report」に関連するもので、特に日本の現在のSDGs達成度が167か国中19位に位置付けられたことを受け、その傾向を探ることを目的としています。
調査結果の概要
調査結果によれば、SDGs目標の達成へ貢献したいという意欲を持つ人々の割合は39%にとどまり、昨年から6ポイントも減少しました。同時に、SDGs関連商品の購入意向は58%で、同様に昨年より5ポイント減少しています。この数字は、過去4年間での最低値とされています。
企業や団体に対する信頼感の低下
SDGsに取り組む企業や団体への好感度も低下しており、37%の人々が好感を持っていると回答しましたが、これは昨年より10ポイントの減少です。興味深いことに、回答者からは「取り組みの透明性や具体的な成果を報告してほしい」という声が12%、「本当に効果があるのか疑問を持つ」などといったネガティブな意見も寄せられています。
ジェンダーレスの意義
さらに、調査はジェンダーレスのイメージについても掘り下げています。32%の人々が「男らしさ、女らしさといった枠にとらわれず、個人が自分らしくいられること」を重視している一方、20%前後の人々は「性別役割の解消」や「多様な性の認知と尊重」に価値を置いています。特にこの点については、女性が男性よりも5〜15ポイントの差で強い意識を示しています。
SDGs活動への懸念
調査の結果、SDGsに関する取り組みへの考え方として、47%の回答者が「過去の同様な取り組みのように、一過性のもので終わる」と感じていることが分かりました。目標を達成するのは難しいとしながらも、状況は少し改善されるとの意見も35%に上ります。
結論と今後の展望
こうした調査結果は、日本社会が直面しているSDGsへの懐疑的な見方や、企業に対する信頼の低下が顕著であることを浮き彫りにしています。一方で、ジェンダーレスや個人の自由を重視する意識が高まる中、企業はどのように信頼を回復し、具体的な取り組みを継続していくかが問われています。
これからのSDGs活動は、透明性と実効性を持った情報発信が重要になるでしょう。一般市民の意欲を高めるためには、企業が成果を明確に示す努力が求められています。今後の調査結果にもどう影響が出るのか、注意深く見守る必要があります。