トランプ政権のエネルギー政策と日本の転換期
社会保障経済研究所(IIGSSP)は、近年のデジタルイノベーションの加速と共に、次世代のエネルギー供給体制の確立が重要であるとの認識を示しています。特に、2025年以降の日本のエネルギー政策の転換が求められる中、トランプ政権の動向を踏まえた実効的な提案を明らかにしました。これは、日本が米国のエネルギー政策の変化に“便乗”し、自国のエネルギー分野の成長を促進し、地方創生を進めるためのものです。
トランプ政権が発足した2021年、美国のエネルギー政策は大きな転換を迎えました。化石燃料が中心のエネルギー資源の開発を加速し、パリ協定からの脱退を表明するなど、政策の大幅な見直しが行われています。特に、バイデン政権では推進されていた電気自動車の優遇措置の撤廃や排出規制の緩和が見込まれています。米国は既に、サウジアラビアやロシアを凌ぎ、世界最大の産油国および天然ガス供給国となっています。この状況から、トランプ大統領は、化石燃料の消費を減らさずに温室効果ガスの排出削減を進める政策の必要性を主張しています。
日本もこのエネルギー政策の変化に影響され、従来の再生可能エネルギーや省エネ施策の抜本的な見直しが急務となっています。温室効果ガスの排出削減に対するさらなるコスト負担は、国民に過度な負担を強いるものであり、国全体の経済を圧迫しかねません。このような観点から、国家資源を有効活用する現実的なエネルギー政策への移行が求められています。
2023年には、UAEで開催された「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)」において、原子力発電の容量を3倍にするという声明が31ヶ国から支持を受けるなど、世界のエネルギー政策が転換を迎えています。ドイツでは領先の再エネ政策が高騰したエネルギー価格の元凶とされ、政治の見直しが求められています。この時代の潮流に乗り遅れないため、原子力発電に関する過剰な安全規制の緩和も必要とされています。
再生可能エネルギーの現実と課題
地方自治体が推進する再生可能エネルギーの誘致施策には、持続可能なビジネスモデルが確立されていない場合や、地域住民にとっての具体的なメリットが見えづらいケースが少なくありません。例えば、太陽光発電施設は自然災害時に環境破壊や二次災害を引き起こす危険が報告されており、さらにオーバーフローによる停電リスクも懸念されています。これに対処するため、事業体は売電収入だけを追求するのではなく、送電事業者と連携し、地域に利益をもたらす事業構築が求められています。
特に、中山間地での未活用の水資源を利用した小水力発電など、地域資源を活かすプロジェクトには、国と地方が積極的に支援を行うべきです。
エネルギー政策の方向性
現在、世界のエネルギー政策は「脱炭素」から「低炭素」へと転換する流れが見られます。これは、単に再生可能エネルギーの普及だけでなく、運輸分野や建設分野の電化、熱分野の効率化、クレジット制度の導入など、様々な手法に向けられています。米国の動きからも、日本はこの新たな潮流を意識し、環境と経済のバランスをとった低炭素政策を採用し、効率性の向上を図るべきであると考えられます。
以上のように、社会保障経済研究所の提言は、日本のエネルギー政策にわかりやすい指針を示しており、国民のコスト負担を減らしつつ、持続可能なエネルギー供給の未来を築くための重要なステップとなるでしょう。