世界29カ国の難民に関する意識調査
世界最大の世論調査会社、イプソス株式会社は、2025年の世界難民の日に合わせて、日本を含む29か国の22,734人を対象にした調査を実施しました。この調査は、難民に対する一般的な意識を探るために毎年行われており、2017年から続いています。
調査の背景と目的
現在、世界中で不安定な状況が続き、多くの人が住まいを失っています。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、2025年には世界中で1億2,200万人が強制的に避難を余儀なくされると予測しています。その中でも、特に注目されるのは難民の数で、現在4,270万人がその状況に直面しています。これにより、難民支援を行う団体は、予算削減という厳しい状況に苦しんでいます。
主な調査結果
避難権への支持
調査の結果、67%の人が、戦争や迫害から逃れる人々に避難所を提供することを支持していることが分かりました。この点は特にスウェーデン、アルゼンチン、オランダで顕著でした。多くの人々が難民に対して思いやりを持っていることを示しています。
難民の動機に関する懸念
しかし、同時に62%の人は、難民希望者の多くが経済移民だと考えており、このことが国境の安全に対する不安を生んでいると感じています。このため、社会統合に対する懸念が高まっています。
富裕国への期待
また、62%の人々が裕福な国々には難民への経済的支援を行う道義的義務があると答えました。人々が求めるのは、国際機関や自国政府からの支援の増加であり、その期待は大きいものです。特に米国、アイルランド、スウェーデン、オランダ、オーストラリアなどでは、政府からのさらなる支援が望まれています。
個人の支援活動の減少
一方で、寄付やソーシャルメディアを通じた支援活動には減少傾向が見られます。2024年には38%が何らかの支援に参加していましたが、2025年には29%にまで落ち込んでいます。この減少は、経済的な懸念の高まりが影響していると考えられます。
専門家の見解
この調査結果について、イプソスのPublic Affairs UKのマネージングディレクターであるTrinh Tu氏は、「この調査結果は、難民支援への関心が依然として続いていることを示しており安心しています。しかし一方で、難民申請者に関する国民の懸念にも真摯に向き合う必要がある」と述べています。
UNHCRのドミニク・ハイド渉外局長も、経済状況の変化や世界的な政治情勢が慈善活動に与える影響を指摘し、「支援ニーズはかつてないほど深化しています。政府や民間セクターが一丸となり、避難を余儀なくされた人々のために支援策を考える必要があります」と強調しました。
まとめ
イプソスの調査は、難民支援に対する国民の意識や行動を浮き彫りにしており、今後の支援策について考える貴重なデータとなりました。世界の不安定化が進む中で、私たちがどう行動すべきか、多くの人がその重要性を再認識することを期待しています。
調査の概要
- - 調査対象者: 世界29か国22,734人
- - 調査方法: オンライン調査
- - 実施日: 2025年4月25日から5月9日
- - 調査機関: イプソス