ADHD治療の新展開
2025-02-03 15:09:19

注意欠如多動症に有効な認知行動療法の新たな技法を発見

注意欠如多動症に対する新たな療法の発見



近年、注意欠如多動症(ADHD)に対する治療法の開発が進んでいます。福井大学の研究チームが新たに発見した認知行動療法の技法は、ADHDの中核症状である不注意や多動性を緩和する可能性があります。この研究は、国際的な学術誌『BMJ Mental Health』に掲載される予定であり、今後のADHD治療における新たなスタンダードの確立が期待されています。

研究の経緯と目的


ADHDは、神経発達症の一つで、不注意、多動性、衝動性といった特徴が日常生活に影響を及ぼす病気です。これまでの治療には薬物療法が広く用いられていますが、完全な寛解に至らないケースが多いため、精神療法、特に認知行動療法の可能性が注目されています。しかし、多様な技法が存在するこの治療法が、ADHDの中核症状の緩和にどのように寄与するのかは不明でした。本研究は、ADHDに対する数多くのランダム化比較試験からデータを集め、どの技法が共通して効果的であるかを明らかにすることを目指しました。

研究の方法


研究は、福井大学の濱谷沙世助教や水野賀史准教授、鹿児島大学病院の松本一記准教授らによって行われ、システマティック・レビューを通じて世界中の43件のランダム化比較試験からのデータを分析しました。これにより、ADHDの中核症状の緩和に寄与する要素を探り出すことができました。

使用した手法は、コンポーネント・ネットワーク・メタアナリシスで、これにより、治療レベルとコンポーネントレベルの両方からADHD治療に寄与する技法を明らかにしました。

研究結果


結果として、認知行動療法はさまざまな技法が組み合わさることによって効果を発揮することが分かりました。具体的には、第三世代療法(マインドフルネス認知療法や弁証的行動療法など)が最も効果的であり、次いで行動療法と認知行動療法が続きました。また、「組織化戦略」と「第三世代技法」により治療の効果が高まり、特に「問題解決技法」が不注意症状を軽減することが示されました。

今後の方向性


この研究により、ADHDに対する認知行動療法の有効性が実証され、今後はこれを基にした治療法の開発が期待されます。研究チームは、ADHDの子どもたちとその保護者向けのインターネット治療プログラムの開発も進めており、将来的な臨床試験の実施が計画されています。これにより、ADHDを持つ方々への支援がさらに充実し、治療の選択肢が広がることが期待されています。

この成果は、日本学術振興会や公益財団法人などの支援を受けて行われたものです。そして、今後の研究がADHD治療においてどのように役立つのか、注目されています。


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