仏像写真家 小川晴暘と飛鳥園の100年 - 文化遺産を芸術の域へ -
姫路市立美術館では、2024年7月6日(土)から9月1日(日)まで、写真家・小川晴暘と、彼が創立した仏像撮影専門の写真館「飛鳥園」の100年の歩みをたどる展覧会「小川晴暘と飛鳥園 100年の旅」を開催いたします。
小川晴暘(1894-1960)は、姫路市出身の写真家であり、仏像写真を芸術の域にまで高めた人物として知られています。画家志望であった彼は、写真館の助手を務めながら絵を学んでいましたが、奈良で仏像などの文化遺産に感銘を受けたことをきっかけに写真に傾注し、會津八一の勧めで「飛鳥園」を創業しました。
東洋美術の研究にも熱心に取り組み、中国、韓国、東南アジアなど、様々な地域を訪れて文化遺産の調査と撮影を行いました。彼の作品は、単なる記録写真にとどまらず、仏像の美しさ、歴史、そして文化を深く理解した上で、芸術的な表現へと昇華させた点が大きな特徴です。
本展では、小川晴暘と息子の光三親子による写真作品を中心に、飛鳥園の貴重な写真原板や機材、小川晴暘が調査中に残したスケッチや拓本、彼が刊行した古美術研究専門誌などの資料を展示いたします。これらの展示を通して、小川晴暘という人物の文化遺産への情熱、そして「飛鳥園」が長年積み重ねてきた写真芸術への貢献を、より深く理解することができます。
さらに、現在も活動を続ける「飛鳥園」が近年撮影した作品も展示することで、100年の時を超えて受け継がれる「飛鳥園」の「眼」が切り取った世界を、来場者に感じていただける展覧会を目指しています。
展示内容
小川晴暘・光三親子による写真作品
飛鳥園に保存されている写真原板、機材
小川晴暘が調査の際に遺したスケッチ、拓本
小川晴暘が刊行した『東洋美術』などの古美術研究専門誌
近年撮影された飛鳥園の作品
会期中の催し
本展会期中には、関連イベントが開催されます。講演会やギャラリートーク、解説会などを通して、展覧会をさらに深く楽しめる内容となっています。詳細については、美術館のウェブサイトでご確認ください。
講演会(7月13日):講師:小川光太郎氏(飛鳥園社長)
ギャラリートーク(7月27日)
解説会(8月11日):解説:高瀬晴之(当館学芸員)
子ども鑑賞会(8月24日)
絵本読み聞かせ(7月14日、24日、8月10日、24日)
小川晴暘と飛鳥園の100年の旅 - 文化遺産を芸術の域へ -
この展覧会は、写真家・小川晴暘と「飛鳥園」が歩んできた100年の歴史をたどり、文化遺産の美しさと写真芸術の魅力を再発見する機会となるでしょう。ぜひご来館ください。