耐火木材の未来
2021-12-23 11:08:38
脱炭素に向けた新たな挑戦、アサノ不燃の耐火木材が未来を切り拓く
脱炭素に大きな一歩!アサノ不燃の耐火木材
近年、木造建築は世界的に注目を集めており、日本でもその流れが加速しています。これは、国内の放置林などの樹木が高齢化しているため、CO2吸収が減少している現状に対する行政の対策として、脱炭素社会を実現したいという思惑があります。また、企業にとっても、脱炭素の波に乗らなければ選択肢から外れてしまうのではないかという危機感が広まっています。
こうした時流の中、アサノ不燃は日本で初めて不燃木材を開発しました。国土交通省からも不燃材料としての認定を受け、木材での認定は史上初となります。現在、林業の現場は、手間や時間がかかるにもかかわらず価格が上がらず、存続の危機を抱えています。この問題を解決すべく、アサノ不燃は持続可能な林業を目指し、「セルフネン耐火被覆材」の開発に挑みました。
燃えない材木の革新
この耐火被覆材は、ホウ砂とホウ酸を主成分とした薬剤を国産スギのLVL(単板積層材)に含浸させたものであり、他にはない技術です。この特許は、国内はもちろん、世界の15ヶ国でも認められています。一般的な木材が20.91gのCO2を発生させるのに対し、この耐火木材は6.16gに抑えることが可能で、実に70.5%のCO2削減を実現しています。
試験結果と認定
国土交通省の「官庁施設における木造耐火建築物の整備指針」に基づくと、耐火構造には「メンブレン型工法」、「燃え止まり型工法」、「鋼材内蔵型工法」の三種類が認定されていると言われていますが、アサノ不燃が実施した燃焼比較試験では、一般木材(燃え止まり型)が炎をあげ続けたのに対し、セルフネン耐火被覆材(メンブレン型と鋼材内蔵型)は炎をあげず、煙や有害ガスを一切放出しませんでした。
その試験の結果、外側の耐火被覆部分が焦げて炭化するのみで、木材自体は焼失せず、その形状を維持しています。
ハイブリッドな耐火技術
耐火木材の中でも、セルフネン耐火被覆材(鋼材内蔵型)は、鉄骨と耐火木材を組み合わせた新たなハイブリッド技術です。特に10階建ての建物の低層部に対して2時間の耐火加熱試験を実施した結果、耐火木材に残り火も残らず、損傷も見られないという結果が得られました。また、鉄骨柱の収縮速度が規定以下であることも証明されています。
アサノ不燃の取り組み
アサノ不燃は、持続可能な未来への挑戦を続けています。2021年に設立されたこの会社は、東京都江東区に位置し、代表取締役の浅野成昭さんのリーダーシップのもと、この革新的な技術開発に努めています。アサノ不燃は、経済産業省が主催する「日本ブランド 新日本100選」や、日経BP賞建設部門賞を受賞するなど、評価も高まっています。
今後の木造建築の在り方を変える可能性を秘めたアサノ不燃の耐火木材は、脱炭素社会の実現に向けて、ますます注目される存在となるでしょう。
会社情報
- 会社名
-
株式会社アサノ不燃
- 住所
- 東京都江東区東陽5-28-6TSビル5階
- 電話番号
-
03-6666-0315